今週お届けする『洋楽の棚』傑作選は、第50回で紹介したレッド・ツェッぺリンの名曲「天国への階段」です。この曲の歌詞は難解であるとして有名なことや『洋楽の棚』が50回を迎えた記念回だったということもあって、解説部分だけで原稿用紙20枚以上という短編小説も顔負けの長さになってしまっていますが(汗)、どうか最後まで読んでやってください(笑)。
【第50回】Stairway to Heaven / Led Zeppelin (1971)
Woo-hoo! I made it!!(本当はHip hip hooray!と何人かで集まってやりたいところですが、一人孤独にこのコーナーを書いてますので自己満足の証としてI made it にしときます・涙)。ということで、洋楽紹介も早いものでついに50回目を迎えました!(パチパチパチーと一人で虚しく拍手)。このコーナーで紹介している曲は僕の青春と共にあった古い曲ばかりですけど、皆さん、楽しんでいただけてるでしょうか?このコーナーにいったいどれくらいの読者がいるのかは僕には分かりませんが(恐らく数人でしょう・汗)僕の解説を読んで一人でも洋楽ファンが増えたのであれば本望です。
さて、第50回という節目となりました今回、何の曲を選ぼうかといろいろ迷った結果、僕にとってはすごくお気に入りの曲という訳ではないのですが、レッド・ツェッペリンの名曲Stairway to Heaven(日本でのタイトルは「天国への階段」)を紹介することにしました。なぜかと言うと、この曲が紹介される時にはお約束のように「歌詞が難解だ」という解説が付け加えられているので、果たしてそれが事実なのかどうかを初心に戻って確かめてみようと思ったのです(←できるんだろうか…。汗)。レッド・ツェッペリンはRobert Plant、Jimmy Page、John Paul Jones、John Bonham という4人の英国人ミュージシャン(全員イングランド出身)が集まって1968年にロンドンで結成した伝説のロックバンドで、Jimmy Page のギター演奏を中心にしたスピードとパワーを感じさせるダイナミックな音作りは後に多くのアーティストに影響を与え、ハードロック、ヘビーメタルの祖とも位置づけられています。ですが、同時に傍若無人なミュージシャンの祖でもあり(麻薬乱用のせいなのか、商業的に成功して天狗になってたのか、良くは分かりませんが)、1971年の来日時には宿泊していたホテルの備品を土産物屋で買った日本刀(土産物屋で売ってるような代物なので、恐らくは真剣ではなく模造刀でしょう)で次々に切りつけて破壊するという蛮行に及び、ホテル側は多大なる迷惑と損害を被りました(彼らの乱痴気ぶりについては、本コーナーの第3回Hotel California の解説欄も参考ください)。このバンドに関する情報は巷に溢れてますので、レッド・ツェッペリン自体に関する歴史やエピソードはそれらに譲ることにして、先ずは難解とされる問題の歌詞を一読ください。
There’s a lady who’s sure all that glitters is gold
And she’s buying a stairway to Heaven
When she gets there she knows if the stores are all closed
With a word she can get what she came for
Ooh-ooh, ooh-ooh, and she’s buying a stairway to Heaven
きらめくすべての物は黄金だと信じてる女性が一人いてさ
天国への階段を買おうとしてる
彼女は分かってるんだよね、そこへ行けば、お店が全部閉まってたって
彼女がひと言発すれば、目的のものが手に入ることを
あぁー、それだから、彼女は天国への階段を買おうとしてるんだ
There’s a sign on the wall, but she wants to be sure
‘Cause you know sometimes words have two meanings
In a tree by the brook, there’s a songbird who sings
Sometimes all of our thoughts are misgiven
壁には道しるべがあったんだけど、彼女は疑ってかかったね
だって、言葉ってのは時に違う意味で使われることがあるじゃない
小川の傍の木ではさ、小鳥がメロディーをさえずってる
人の思いってのは、時に疑いを引き起こすものだって
Ooh, it makes me wonder
Ooh, makes me wonder
あー、なんだか気になる
ほんと、気になる
There’s a feeling I get when I look to the West
And my spirit is crying for leaving
In my thoughts I have seen rings of smoke through the trees
And the voices of those who stand looking
西の方を見る時、感じることがあるんだ
ここから離れたいって魂が叫ぶんだよね
僕にはこんな気がしたんだ、樹々の間に煙の輪が見えてさ
目を逸らさず見つめている人たちの声がしたって気がね
Ooh, it makes me wonder
Ooh, really makes me wonder
あー、なんだか気になる
ほんと、気になる
And it’s whispered that soon if we all call the tune
Then the piper will lead us to reason
And a new day will dawn for those who stand long
And the forests will echo with laughter
噂じゃさ、僕たちが思いどおりに物事を決めれば
笛吹き男が正しい道へ導いてくれるって話だよね
長いこと耐えてきた人たちの為に新しい日の朝がやって来てさ
森の中で笑い声がこだまするんだ
If there’s a bustle in your hedgerow, don’t be alarmed now
It’s just a spring clean for the May queen
Yes, there are two paths you can go by, but in the long run
There’s still time to change the road you’re on
生垣が騒がしくたって、心配しないでよ
5月の女王の為に春の大掃除をしてるだけだから
そう、君には二つの道がある、結局のところ
今君がいる道を変える時間はまだあるのさ
And it makes me wonder
Oh, woah
気になるんだよね
なんだか
Your head is humming and it won’t go, in case you don’t know
The piper’s calling you to join him
Dear lady, can you hear the wind blow?
And did you know
Your stairway lies on the whispering wind? Oh
頭の中でブンブンと鳴る音は消えないよ、知ってるだろうけど
笛吹き男がいっしょにやろうぜって君のことを呼んでるんだもの
親愛なるお嬢さん、君にはあの風が吹く音が聞こえるかい?
知ってたかい?
君の求めてる天国への階段はその風のささやきから延びてるってことを
And as we wind on down the road
Our shadows taller than our soul
There walks a lady we all know
Who shines white light and wants to show
How everything still turns to gold
And if you listen very hard
The tune will come to you at last
When all are one, and one is all, yeah
To be a rock and not to roll
あちこち寄り道しているうちに
陰の背丈は魂より大きくなり
皆が知ってるあの女性がそこを歩いてて
白い光で照らしながらどうやるかを示したがるんだ
あらゆるものをさらに黄金色に変える方法を
でも、耳を澄ませば
最後にはあの曲が流れてくるだろうさ
みんながひとつに、ひとりがみんなになった時にね
分裂するのではなくひとつにまとまるために
And she’s buying a stairway to Heaven
なのに、彼女は天国への階段を買おうとしてるんだ
Stairway to Heaven Lyrics as written by Robert Plant, Jimmy Page
Lyrics © Warner Chappell Music, Inc.
【解説】
さてさて、Stairway to Heaven の歌詞、皆さんはどう受け止められましたか?はっきり言って、英語で読んでも日本語で読んでも、何を言いたいのやらよく分かりませんよね(笑)。ただでさえそうなのに、その状況をさらに混乱させているのが、この歌詞を書いたRobert Plant のこれまでの発言です。なぜなら、この人は目立つのが好きなのかメディアのインタビューによく応じていて、その度にStairway to Heaven の歌詞についていろいろと語っているのですが(本来なら、その種の発言は歌詞を理解する手掛かりとなるので歓迎のはずなんですけどね)、Robert Plant の発言が逆に混乱を招く原因となってしまっているのは、同じ質問であっても彼はしばしば異なる(以前の発言とは矛盾する)回答をするからです。しかし、彼が今までに発言してきた内容を順番に追って行くと、一貫してブレていない発言も中にはあることが分かってきました。僕が気付いた昔も今も変わらぬ彼の発言は3つ。その要点は以下のとおりです。
① Stairway to Heaven は「何の考えも思いやりもないまま(何も返すことなく)欲しいものをいつでも何でも手に入れる女性のことを歌ったものである。it was about a woman getting everything she wanted all the time without giving back any thought or consideration」
② Stairway to Heaven の中で彼が試みたのは「人里離れた牧歌的なイギリスやほとんど語られることのない古いケルト文化への関連性を作品に取り入れようとしたことである。I was really trying to bring the remote, pastoral Britain, the old, almost unspoken Celtic references into the piece」
③ Stairway to Heaven は「希望の歌である。I used to say it in Zeppelin, This is a song of hope」
これらの事はRobert Plant が若い頃から今に至るまで繰り返し口にしていますから、この3点をStairway to Heaven の歌詞を理解する鍵と考えても良いかと思います。なので、この鍵を手掛かりに歌詞を紐解いていくことにしましょう。先ず、第1節1行目ですが、このフレーズが前述した3つの要点の①を指していることに疑いの余地はありません。glitter はただ単に光る、輝くではなくキラキラと光る、輝くというイメージ。ここのgold は、世界共通の認識であるgold=money です。2行目に早速、a stairway to Heaven という言葉が出てきますが、ここで言うHeaven とは勿論、キリスト教によって定義されている天国のことであり、天国へ向かう階段という言葉を聞いて僕の頭に浮かんだのは「最後の審判を受けずに天国へ行くことを手助けするインチキな手段」といったイメージでした。つまり、そのような手段を主人公の女が欲しがっていることを示唆することによって「金で何でもできる、金があればなんとでもなる」という女の根底にある強欲さ(悪)を暗喩しているのだと思います。3、4行目のフレーズも、1、2行目の表現を変えただけであり、4行目のword をmoney に置き換えれば、ここで言及されていることも「金で何でもできる、金があればなんとでもなる」であることが分かります。僕には3行目のthe stores が天国の門のことのように思え、天国の門が閉まっていても、金さえあれば門番であるペテロから鍵を手に入れることができると女は信じていると言っているように聞こえました。では、なぜに天国への階段を買おうとしている者をa lady を使って表現したのでしょうか?あくまでも推測ですが、恐らくRobert Plant の周囲に強欲を地で行く性格を持つ人物モデルのような人がいて、たまたまそれが女性であっただけのことだと思います。ここでのlady は世の女性が強欲だと言うために使われているのではなく、男女を問わない強欲(悪)の象徴であると僕は理解しました。
第2節目で歌われているのも同じことで、天国への階段を欲しがっている女がどんな女であるのかを比喩しています。1行目の壁にあるサインは恐らく、天国への道を示す標識。でも、女はその標識が本当に天国の方向を指しているのかどうかを疑っており、words have two meanings と思うのも他人の言葉を信用しないことの裏返しだと考えます。つまり、歌詞の主人公である強欲女が信じるのは金だけで、何も信じない、誰も信じないということでしょう。女は金(欲)が自分から人々を遠ざけてしまっていることに気付いていないようです。3行目のIn a tree by the brook, there’s a songbird who sings は唐突で良く分からないフレーズですね(汗)。a songbird に続く関係代名詞がwhich ではなくwho なので、songbird は人のことなのかもと考えてもみましたが、ペットの愛犬など家族同然の存在の場合や話者がその対象を愛らしい存在と思っている場合なんかは動物に対してでもwho を使うことがありますので、やはりここに出てくるsongbird は鳥なのでしょう(一般にsongbird は、その鳴き声が歌っているように聞こえる鳥のことを指します)。songbird という言葉をここで使ったことに特にこれといった意味や意図はなく、a tree、the brook、a songbird という単語を並べることで単に英国の田園風景をイメージさせようとしただけではないかと思います。この節が3つの要点の②のことであるのは間違いなさそうですね。因みにRobert Plant は、イングランドのWest Bromwich 出身で、West Bromwich 自体は大都市バーミンガムの経済圏内なので街中には都市の景観しかありませんが、郊外へ行けば典型的な田園風景が広がっています。そのあとに続くSometimesall of our thoughts are misgiven は、人を信じることのできない女に対する助言のようなものではないかと理解しました。
3節目に登場するのが、この曲の歌詞の中でa stairway to Heaven 同様、記憶に残って忘れられなくなるit makes me wonder という印象的なフレーズ。直訳すれば「そのことが私に考えさせる」ですが、日本語に置き換える場合、感覚的には「なんか気になるなー」と言う時の感じと同じかなという気がします。第4節も唐突感が否めず、何が言いたいのかその内容もいまいち良く分かりません。なぜなら、ここまで語り手が第3者の目で女と天国への階段について語っていたのに、ここにきて突然、自らの感情を剥き出しにし始めるからです。先ず、1行目のthe West ですが、これは世界の多くの地域で日の沈む西には死後の世界があると考えられているとおり、この歌詞においても死後の世界の代替語としてthe West が使われていると思われます。2行目のmy spirit is crying for leaving は、語り手の魂が死後の世界へ行きたがっていることを匂わせていて、3、4行目でその理由が語られています、rings of smoke through the trees は何のことか意味不明ですが、3つの要点の②を参考に考えた結果、僕はケルト神話に出てくるナナカマドRowanという木から出た煙ではないかと推測しました。ケルト神話ではナナカマドを燃やした時に出る煙は霊を呼び出すと言われていて、4行目のthe voices はその霊に導かれて死後の世界へ向かう故人を見つめている人々の声(stand looking は「直視することに耐える」の意味であるstand looking at と理解)、つまり、嘆き悲しむ声ではないかという気が僕にはしました。語り手は、霊に導かれて死後の世界へやすらかに向かう人の姿を、強欲女に見せたかったのかもしれません。今のままの君では天国の階段を手に入れたところで、霊に導かれるような安らかな死を迎えることはできないとでも言いたかったのかもですね(←あくまでも僕個人の勝手な見解です・汗)。
第5節は3節目の繰り返し。6節目はまたまた意味不明なフレーズの羅列です。難解ではなく意味不明なんです(笑)。1、2行目はHe who pays the piper calls the tune という諺がベースになっていることは誰の目にも明らかですね。直訳すれば「金を払うものが笛吹きに曲を指示できる」。即ち「金を出す者に決定権がある。金を出す者は口も出す」といった意味です。it’s whispered that は、that 節以降のような噂がありますよと言いたい時の用法。英国において英国人がthe piper と言った場合、普通はバグパイプ奏者のことを指しています。2行目のreason は、ここではものごとの分別、良識、道理といった意味で使われていると理解し「正しい道」という訳語にしてみました。3行目のAnd a new day will dawn for those who stand longは、この曲を理解しようとした世界中の先人の方々の間では、ルカの福音書第1章78節であるA new day will dawn on us from above because our God is loving and merciful(これは私たちの神の憐み深い御心による。また、その憐みによって、日の光が上から私たちに臨み)からの一部引用であるというのが定説になっているようです。因みに第79節にはHe will give light to those who live in the dark and in death’s shadow. He will guide us into the way of peace(暗黒と死の陰とに住む者を照らし、私たちの足を平和の道へ導くであろう)という言葉が続いていて、この第79節も歌詞に影響を与えているような気がします。僕にはこの6節目が、伝統や習慣、社会、政治システムなどに縛られて自分の思う本心を隠したり行動できなかったり、それらのことを我慢している人々に対して「自分が思うように自由にやればいい、それこそが正しい道であり、そうすれば明るい未来が開けて、あなたたちも笑顔になれる」と言っているようにしか聞こえませんでした。そのことが強欲女と天国への階段の話とどう関係しているのかは、理解不能としか言いようがありませんが、3つの要点の③の根拠はこの節にあるような気がします。
第7節はさらに意味不明です(笑)。there’s a bustle はなんだか騒がしい、騒々しいといったイメージで、hedgerow は生垣、つまり、庭に低木を連なるように植えて塀代わりにするというあれです。「あなたの生垣が騒がしい」だなんて何のことかさっぱりですが、調べてみたところ、英国の田園地帯における生垣は自分の土地と隣人の土地を分ける境界線の象徴だそうで、境界線が騒がしいというのは、隣人(他者)と揉め事のような何らかの問題が起こっているような状況を想像させます。2行目のa spring clean は、日本でいうところの大晦日にやる大掃除みたいなもので、ヨーロッパでは、冬に薪や石炭の暖房を使って煤けた部屋を春の到来と共に掃除するという習慣が昔はありました(英国では今でもこの習慣を続けている家庭も多く、特に日は決まっていませんが3~4月に行われます)。そのあとのthe May queen というのは、その年の豊穣を祈る春祭りの日(日本では労働者の日というイメージしかない5月1日が春祭りの日です)に少女の中から選ばれる豊穣の女神の代理のような存在で、選ばれた少女はサンザシの花の冠を頭にかぶります。では、If there’s a bustle in your hedgerow, don’t be alarmed now. It’s just a spring clean for the May queen とはいったい何を意味してるのでしょうか?先程も申し上げたとおりワケワカメではあるのですが(←出た!必殺オヤジギャグ!)、僕はa bustle in your hedgerow は時として人が味わうことになる人生における苦難、the May queen は明るい未来の象徴と考えてみました。つまり「人は時として苦難を味わったり問題を抱えることもあるが、そういった状況は未来へ向かう為の自分自身の整理整頓(誤った過去の清算)の為だから、心配は要らない」と言ってるのではないかと。そう考えると、3行目がYes という言葉で受けていることも納得できるのです。そのあとに続くtwo paths は誤った過去に戻るか正しい未来に進むかであり、but in the long run, there’s still time to change the road you’re on で「今ならまだ間に合う」と強欲女を諭しているように僕には聞こえました。
と第7節を無理矢理に解釈して乗り切ったかと一安心したのも束の間、8節目もまたまたワケワカメです(笑)。Your head is humming and it won’t go って「なんじゃこれ?」ですよね。僕が思うに、彼女の頭に鳴り響くブンブンという音は「天国への階段を金で買おうなんて考えはそもそも悪である」と見做すような善良な人々の怒りにも似た声であり、3行目のthe wind blow と同じものであると考えます。2行目のThe piper はこの歌詞の中ではそんな善の側の人間の象徴であり、正しい未来へ進もうという人々の思いが消えることは永遠に無いということではないでしょうか。だからこそ最後にDid you know your stairway lies on the whispering wind? と尋ねているのだと思います。天国への階段は、金で手に入るようなものではなく、正しい道を歩む(善良に生きる)ことでいつか目の前に現れるものだということなのでしょう。おぉぉー、最後はなかなかうまくまとまったじゃないかと思ったら、このあとギターのソロが終わってからのブリッジにまたまた意味不明なフレーズが…。「あー、もう勘弁してくれー」と言いたいところですが、最後までがんばってみます。1行目のwind は主語にwe を取ってますので、名詞のwind ではなく動詞のwind です(ワインドと発音する方です)。ここで主語がwe に変わりましたが、このwe は善の側にいる人間全体を指していると思われます。we wind on down the road の部分を聴いて頭に浮かんだのは、蛇のようにうねりながら道を進んでいるようなイメージでしたので、このように訳しました。2行目のshadow は悪い欲望、soul は汚れのない善良な心と理解しました。3行目に出てくるa lady we all know は、天国への階段を買おうとしている強欲女のことであり、悪の側の象徴です。4行目のwhite light は何のことなのかまったく分かりません(←もうなげやりデス)が、強欲女が再び出てきてOur shadows taller than our soul という状況に対して「ほーら、見たことか」と言ってる感じですかね。7行目のThe tune は善良な人々の声であり、皆がひとつにまとまる(ひとつになって希望に満ちた正しい未来に向かう)時、その声が最後には聞こえてくるだろうと強欲女をいさめているのだと理解しました。ここの部分も、3つの要点の③と関連しているのではないでしょうか。最後の行のrock は一枚岩、roll は船を揺さぶって転覆させようとしているような情景が頭に浮かんだのでこのような訳にしています(ロックンロールという言葉を歌詞に入れてる曲は山ほどありますが、この曲のそれは類のない表現ですね)。
ここで最後の疑問。果たして強欲女は、反省し善良な心を取り戻したのでしょうか?残念ながら、アウトロで歌われているのがAnd she’s buying a stairway to Heaven というフレーズであるとおり、そうではなさそうです。強欲なだけあって、やはり一筋縄ではいかない女のようですね(汗)。僕が最近見たRobert Plant の姿は2023年にテレビのインタビュー番組に出演していた時のもので、そこでStairway to Heaven の歌詞について訊かれた彼は、やはりこう答えてました。「It was a song about fate and somerhing very British almost abstract, but they were coming out of a 23 years old guy, you know・あれは運命やとても英国的な事柄の歌なんだ。まったくもって抽象的なね。だってさ、23歳の若造が作った歌詞なんだもの」そして、そのあとも「It was a great achievement to take such a monstrously dramatic musical piece and find a lyric that was ambiguous enough and a delivery which was not over pumped just it almost was like the antithesis of the music was this kind of lyric and this vocal delivery that was just about enough to get in there」ってな調子で語ってたんですが、その話しぶりから僕が感じたのは「この人は、簡単なことを小難しく言いたがる人なんだ」ということでした。日本にもそういった人はいますよね(笑)。そして、その瞬間、僕はStairway to Heaven の歌詞には取り立てて深い意味などないことを確信しました。実際、Robert Plant はStairway to Heaven の歌詞がもう自分でも何のことだか良く分からなくなっていると最近は言ってるようで、なぜそんなことになってしまうのかというと、元から歌詞には大した意味がなかったからです。
「ごく簡単なことを小難しく言いたがる若造が作った出鱈目な歌詞が、自らの思わせぶりな声と神がかったJimmy Page のギターの音色によって昇華されてしまい、聴くものに何か深い意味があるかのように思わせてしまった」これが僕のStairway to Heaven の歌詞に対する結論であり、この曲の歌詞は難解なのではなく、そもそもからして筋が通っていないだけのことではないかと思います。まあ、歌詞はともあれ、ラベルのボレロをロックで再現したようなこの斬新な曲、歴史に名を残す名曲であることに変わりはないですが…。
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