洋楽の棚②

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【第11回】Rosanna / Toto (1982)

この曲のタイトルとなっているRosanna はイタリアでは良く耳にする女性の名前で、イタリア語ではロザンナと発音されますが(ロの音は巻き舌で発音)、英語圏ではロザーナとなります(ロザーナというよりはロザァナに聞こえます)。ロザンナと聞いて「ヒデとロザンナ」を思い浮かべるのは年配の人。若い方はヒデとロザンナなんてご存知ないでしょうね(笑)。この曲をリリースしたのは1977年にロサンゼルスで結成されたToto というロックバンドで、Rosanna がラジオから流れ始めた当時、中学生だった僕たちの間では「ベンキ」と呼ばれていました。ベンキとはずばり「便器」のことで、学校のトイレの和式便器の金隠しの部分の上でいつも輝いている文字が『TOTO』だったからです(笑)。この曲のモデルとなったのは、グループのメンバーだったイタリア系アメリカ人のSteve Porcaro が当時つきあっていた女優Rosanna Arquette(ロザーナ・アークチェット)であるという説が長らくの間まことしやかに伝わっていましたが、歌詞を書いた同じくメンバーのDavid Paich は後にそれを否定していて、この曲に出てくるロザーナの名は、歌詞を歌う際にどんな名前が合うのかをいろいろと試してみた結果、ロザーナという名の響きが一番しっくりときたからだと明かしています。歌詞のモデルがRosanna Arquette だという噂の原因は、当時、まだ駆け出しの女優であったArquette が「あの曲はあたしのことを歌ってるのよ」と自らの宣伝の為に吹聴して回っていたからだとも言われていますけども、David Paich は、Porcaroの彼女がたまたま曲のタイトルと同じロザーナという名前であることを知っていた自分たちが「この曲を演奏する時は、あいつら二人のことを思い浮かべながらやろうぜ」という悪ふざけをいつもしていたことから歌詞のモデルがRosanna Arquette だという誤解が生まれたと語っています。

All I wanna do when I wake up in the morning is see your eyes
Rosanna, Rosanna
I never thought that a girl like you could ever care for me
Rosanna
All I wanna do in the middle of the evening is hold you tight
Rosanna, Rosanna
I didn’t know you were looking for more than I could ever be

僕が朝起きたらしたいことはね、君の瞳を見つめることさ
ああ、ロザーナ
君みたいな娘が僕に優しくしてくれるなんて思いもしなかったよ
ロザーナ
僕が夜の真っ只中にしたいことはな、君を強く抱きしめることさ
ああ、ロザーナ
君が僕以上のものを求めるなんて思いもしなかった

Not quite a year since she went away, Rosanna, yeah
Now she’s gone and I have to say

彼女が出て行ってそろそろ一年、ああ、ロザーナ
彼女がいなくなった今、僕はこう言わなくっちゃね

Meet you all the way
Meet you all the way, Rosanna yeah
Meet you all the way
Meet you all the way, Rosanna yeah

今でも君に会いたいよ
今でも君に会いたいんだ、ロザーナ
今でも君に会いたいんだ
今でも君に会いたいのさ、ロザーナ

I can see your face still shining through the window on the other side
Rosanna, Rosanna
I didn’t know that a girl like you could make me feel so sad
Rosanna
All I want to tell you is now you’ll never ever have to compromise
Rosanna, Rosanna
I never thought that losing you could ever hurt so bad

反対側の窓から未だ微笑んでる君の顔が見えるよ
ああ、ロザーナ
君みたいな娘が僕をこんなにへこませるなんて思いもしなかったな
だけど、ロザーナ
君には自分を曲げる必要はないってことだけは言っておくよ
ああ、ロザーナ
君を失うことがこれほど辛いとは思いもしてなかったさ

Not quite a year since she went away, Rosanna, yeah
Now she’s gone and I have to say

彼女が出て行ってそろそろ一年、ああ、ロザーナ
彼女がいなくなった今、僕はこう言わなくっちゃね

*この後は同じフレーズの繰り返しで最後にコーラスがMeet you all the way を連呼して曲が終わります。

Rosanna Lyrics as written by David Paich
Lyrics © Spirit Music Group, Warner Chappell Music Inc.

【解説】
小気味よいドラムの打音とどこか爽やかさの漂うギターの音色が見事に組み合うイントロに続いて歌い始めるのはSteve Lukather。本職はギターリストで、歌ってもバックコーラスくらいでしたが、この曲ではボーカルを担当していて、第1節のAll I wanna do when I wake up in the morning is see your eyes というなんだか早口言葉みたいなフレーズをソフトな声で見事に歌っています。ですが、Lukather の出番はここまで。5行目のAll I wanna do in the middle of the evening is hold you tight からはメイン・ボーカルのBobby Kimball にバトンタッチです。7行目のI didn’t know you were looking for more than I could ever be から推測できるのは、歌詞の主人公の彼女であったのであろう女性が他の男のもとへ走ったということ。第1節の歌詞に英語的な難しさのある部分は特になく、和訳したとおり。要するに、洋楽によくある典型的なクサい歌詞ですね(笑)。2節目のNot quite a year since~は「~してから1年は経っていない」という意味。第3節はMeet youの前のI wanna がすべて省略されていると考えて良いでしょう。そのあとのall the way にはいろいろな使い方がありますが、ここでは距離感や程度を表す「ずっと」いう意味なので「今でも」と言葉を置き換えました。第4、5節も和訳のとおり。このように、この曲の歌詞には難解な言い回しも聞き慣れない単語も見当たらず、とてもシンプルなものになっています。初級レベルの英語を学習中の方でも、この歌詞であれば自力で和訳することはそれほど難しくはないと思いますので、一度チャレンジしてみては如何でしょうか?一曲でも自力で歌詞を訳し終えると、英語力に自信がつきますよ!

自分の元を去って行った元カノに今でも会いたいという切ない思いを、どこかふっきれた感の漂うメロディーラインと共に歌い上げるこの曲、高度なテクニックを駆使して叩かれるドラムの音色と相まって大ヒット(1982年の米国ビルボード社の年間チャートで14位)。それまでほとんど無名であったToto の名を世界に知らしめました。因みにToto というバンド名、日本では「アメリカに輸出されたTOTO の便器に染め付けられていた会社名のロゴをアメリカのトイレで見かけたメンバーが気に入ってバンド名にした」みたいな都市伝説のような名前の由来が流布していますが、Bobby Kimball は次のように語っています(発言の中で彼がwe ではなくthey と言っているのは、Kimball はその場にいなかったからでしょう)。
「They were sitting at the house Jeff (Porcaro) had, watching television, they were watching ’The Wizard of z’. The little dog was named Toto and they thought that’s a good name for a band. That’s where the name came from」
つまり、Toto の名は便器ではなく「オズの魔法使い」に出てくる犬の名前だったということなんです(笑)

【第12回】My Sharona / The Knack (1979)

前回に引き続き、今回も曲中で女性の名前を連呼している曲を紹介しましょう。ですがRosannaとは違ってこのMy Sharona という曲はかなりキワドイ歌詞の曲ですので、未成年者は歌詞も解説も読まないようにしてください(笑)。この曲をリリースしたのは「ビートルズの再来」として売り出されたThe Knackという4人組のバンドで、1979年度の米国ビルボード社年間ヒットチャートで堂々1位の座に輝くほどにMy Sharona はバカ売れしました。しかし、この曲以外のヒット曲を生み出せずにいつの間にか消えてしまったことから、同じ頃、日本で「夢想花」という曲をヒットさせた後「飛んで、飛んで、飛んで」と歌った自らの歌詞のようにどこかへ飛んで行ってしまって1曲のヒットで消えたとされる円広志さんになぞらえ、アメリカ版の「一発スター」と日本では呼ばれています。但し、両者の名誉の為に付け加えておくと、円さんは関西圏のテレビ、ラジオで今でも活躍されてますし(笑)、The Knack でボーカルを務めていたDoug Fieger(ダグ・フィーガー)も2010年に亡くなるまでずっと地道に音楽活動を続けていました。

Ooh, my little pretty one, pretty one
When you gonna give me some time, Sharona?
Ooh, you make my motor run, my motor run
Gun it coming off of the line, Sharona

あぁ、俺の可愛いいコギャルちゃん、可愛いいコギャルの
シャローナちゃん、いつになったら時間を作ってくれるんだい?
あぁ、君は俺のモーターを回し始めたんだ、俺のモーターをね
俺のモーターはもうフル回転でおかしくなりそうなんだよ、シャローナちゃん

Never gonna stop, give it up, such a dirty mind
I always get it up for the touch of the younger kind
My, my, my, I, yi, woo!
M-m-m-my Sharona

そんなエロい妄想、もう止めることも諦めることもできないんだ
だってさ、若い娘に触れられるって思うだけで、俺はいつもおっ勃ってんだもの
あぁ、俺の、俺の、そうさ、俺の
俺のぉぉ、俺のシャローナちゃん

Come a little closer, huh, ah, will ya, huh?
Close enough to look in my eyes, Sharona
Keeping it a mystery gets to me
Running down the length of my thighs, Sharona

もっと傍に来てくれよ、なあ、来てくれるだろ?
俺の瞳を覗けるくらい傍へさ、頼むよ、シャローナちゃん
エロい妄想をそのまんまにしてると
なんだか股間がムズムズしちゃうんだよ、シャローナちゃん

Never gonna stop, give it up, such a dirty mind
I always get it up for the touch of the younger kind
My, my, my, I, yi, woo!
M-m-m-my Sharona
M-m-m-my Sharona

そんなエロい妄想、もう止めることも諦めることもできないんだ
だってさ、若い娘に触れられるって思うだけで、俺はいつもおっ勃ってんだもの
あぁ、俺の、俺の、そうさ、俺の!
俺のぉぉ、俺のシャローナちゃん
俺のぉぉ、俺のシャローナちゃん

When you gonna give to me, g-give to me?
Is it just a matter of time, Sharona?
Is it j-just destiny, d-destiny
Or is it just a game in my mind, Sharona?

いつになったら、だ、抱かせてくれるんだい?
そんなの時間の問題?だよね、シャローナちゃん
そ、それが運命なのさ、それが君の、う、運命
それとも、シャローナちゃんさあ、これって単なる俺の妄想?

Never gonna stop, give it up, such a dirty mind
I always get it up for the touch of the younger kind
My, my, my, I, yi, woo!
M-m-m-my my my, I, yi, woo!
M-m-m-my Sharona

そんなエロい妄想、もう止めることも諦めることもできないんだ
だってさ、若い娘に触れられるって思うだけで、俺はいつもおっ勃ってんだもの
あぁ、俺の、俺の、そうさ、俺の!
俺のぉぉ、俺のシャローナちゃん

*ここから先はmy Sharona だけを連呼した後、長いギターソロが入って再びmy Sharona の連呼で曲が終わるので省略します。

My Sharona Lyrics as written by Doug Fieger, Burton Averre
Lyrics © MUSIC SALES CORPORATION, REACH MUSIC PUBLISHING

【解説】
The Knack のボーカルでこの曲を作詞したDoug Fieger が曲のリリース直後から明かしているとおり、曲中に出てくるSharona は実在する女性で、Doug の恋人でした。二人が出会ったのはDoug が25歳の時、一方のSharona は17歳だったそうです。その事実を知れば、第1節の最初に出てくるmy little pretty oneの意味がすぐに理解できますが、同時にそのことは物議を醸すことになりました。Doug Fieger はロリコン趣味の変態野郎ではないのかという疑惑です。そのあと彼は危機感を感じたのか、新聞社のインタビューに対して、歌詞の内容は自分の気持ちではなく14歳という架空の少年の目線で描いたものだと答えていますが、ロリコン認定を避ける為の方便だったとしか思えませんね(笑)。そもそもThe Knack というバンド名自体、1965年に製作されたイギリス映画「The Knack …and How to Get It」というエロ・コメディーに由来するそうですし…。

まあ、そんなことはさておき、歌詞を見ていきましょう。ドラムとベースが奏でる単調なリズムにエレキギターの音色が加わって曲が一気にブーストアップする特徴的なイントロの後に聞こえてくる第1節のWhen you gonna give me some time から浮かんでくるのは、主人公がシャローナをデートに誘っている光景で、そこから推測できるのは、二人がこの時点ではまだ付き合ってはいないという事実です(余談ですが、ダグはこのsome time の部分を真ん中で切ってtimeを後ろのSharonaとくっつけて歌うので、聞いただけでは何を言いたいのか良く分からないですし、他の節でも同じような歌い方をしていますね)。4行目のGun it はあまり使われない表現で、ネイティブでもGot it と聞き間違える人が少なからずいるようですが、Got it だとyou make my motor runがあったことによってcoming off of the lineすることになった(直訳すれば線から外れるですが、ここでのthe lineは正常な気持ちのような意味で使っているのだと考えこう訳しました)と単に言っているようにしか聞こえませんが、Gun it(車を急発進させるといった意味があります)だと、you make my motor run によって急に心に火が付いたといった感じのイメージが湧いてきますし、そのことから主人公はシャローナに一目ぼれだったのであろうということが窺えます。第2節を聞いて分かるのは、第1節のmotor が主人公の淫らな欲望を意味しているに違いないということで、それがなぜかと言うと、2行目のget it up は第1節の流れと後に続いている文から考えても男性器をおっ勃てるにしか聞こえないからです。the touch of the younger kind に至っては、ロリコン趣味を反映しているのかkind がkid を連想させますし、もしもこの曲をkind ではなくkid で歌えば、放送禁止処分を受けることになるのは確実でしょう。これらのフレーズはmy little pretty one 以上に物議を醸したと言うよりか、世間の批判に晒されることになり、日本にも「8時だよ全員集合を子供たちに見せてはいけない」というような主張(子供を下品にする)をしていた教育ママみたいな方々がかつて存在していたようにアメリカにも同種の人々がいて、この第2節は「だから、ロックなんて子供に聞かせてはいけないんだ」という主張を正当化する材料ともなってしまいました。

3節目も下品なフレーズ炸裂で、the length of my thighs は男性器を指しているとしか思えません。僕がそう思ったのはthigh が複数形になっているからで、男性の太腿と太腿の間に何があるのかは誰が考えてひとつしかないのです(笑)。第4節は第2節と同じヤバいフレーズの繰り返し。5節目も同じく絶好調に下品で、When you gonna give to me, g-give to me?の部分からは、二人が既に付き合い始め、次の段階に進もうとしていることが推察できます。第1節ではsome time をいつgive してくれるのかと言っていたのに、ここでは何をgive して欲しいのか曖昧にしていますが、第4節の歌詞部分のダグの歌い方が実にイヤラしくスケベ丸出しなので、主人公が何を求めているのかは明らかです(言い過ぎですか?・笑)。第6節は再びお下劣フレーズに戻り、そのあと、ギターのソロが入ります。Berton Averre のギター演奏、めちゃくちゃ上手いしイケてますよね。どうやって弾いてるんだろうと思います。そして、最後に「俺のシャローナ」を狂ったように連呼しながら曲は終了。と、ここまで歌詞を見てきたことからも分かるように、この曲は100%「変態ソング認定」ですね(笑)。

では最後に、この曲の興味深いエピソードをひとつ紹介して解説を終えることにしましょう。冒頭でも触れましたが、歌詞に登場するシャローナは実在の人物で、Sharona Alperin というLA 出身の女性です(シャローナという名前はユダヤ系の名前で、ヘブライ語で平和を意味するシャロームに由来)。なんと、この女性、My Sharona のシングル・レコードのジャケットの表紙にも登場していて、乳首スケスケの白のタンクトップ姿で写っています(ここからもDoug Fieger の変態ぶりが窺えますね・笑)。Doug とSharonaAlperin は実際に付き合っていましたが、彼女が二十歳を過ぎた頃に別れたそう。ロリータとしての価値が無くなったからでしょうかね(笑)驚くべきことに彼女、Doug と別れた後は不動産業界に身を置き、LAで売上金額ナンバーワンになるほどの成功を収めています。こんな歌詞の曲を歌うグループをどうしてビートルズの再来として売り出そうとしたのか不思議でなりませんが、ギター演奏も上手いことだし、ビートルズの再来ではなく、ビジュアルもパンク風に変えてクレイジーなハードロック・バンドとして売り出した方が、ロック界のキワモノとしてもっと生き残れたのではと思うのは僕だけでしょうか?(笑)

【第13回】Heat of the Moment / Asia (1982)

今回紹介する曲は1982年に米国ビルボード社の年間チャートで40位に入ったAsia というバンドがリリースしたHeat of the Moment です。高校生の時にこの曲を最初に聴いてからというもの、これぞアメリカン・ロックといったそのメロディーラインから(今、聞き返すと、シンセサイザーの音の使い方なんかが英国っぽいと言えば英国っぽいのですが・笑)僕はしばらくのあいだアメリカのグループの曲だとてっきり思っていましたが、Asiaがイギリスのバンドであり、しかも、結成の中心人物がVideo Killed the Radio StarをヒットさせたThe Buggles のGeoff Downes であったことを後に知って驚いた記憶があります。

I never meant to be so bad to you
One thing I said that I would never do
A look from you and I would fall from grace
And that would wipe the smile right from my face

君を傷つけるつもりなんてなかった
そんなこと絶対にしないってのが僕の誓いだった
でも、君の様子を見れば嫌われちまったって分かったね
だから僕の顔、ぱっと蒼ざめちゃったんだよね

Do you remember when we used to dance?
And incidents arose from circumstance
One thing led to another, we were young
And we would scream together songs unsung

覚えてるかい、僕たち一緒に踊ったもんだよね?
いろんなことのせいで、いろんなことがあったよね
ひとつのことがまた別の何かを引き起こす、二人とも若かったんだ
だからさ、お互い言っちゃいけないことまで口に出しちゃってたんだ

It was the heat of the moment
Telling me what my heart meant
The heat of the moment shone in your eyes

激しく燃え立った感情ってやつだったのかな
僕の本心がどこにあるのかを気付かせてくれるね
君の瞳に光った一瞬の激情がそれさ

And now you find yourself in Eighty Two
The disco hot spots hold no charm for you
You can concern yourself with bigger things
You catch the pearl and ride the dragon’s wings

君はディスコ「82」で気付いたんだね
人気ディスコなんてもう君には用無しだってことをね
だって、君はもっと大きく羽ばたけるんだもんね
真珠を手にドラゴンの翼に乗ってね

‘Cause it’s the heat of the moment
Heat of the moment
The heat of the moment shone in your eyes
ぱっと燃え上がった情熱ってやつがそうさせるんだ
ほんの一瞬の情熱
君の瞳に光った一瞬の情熱がそれなんだ

And when your looks are gone and you’re alone
How many nights you sit beside the phone
What were the things you wanted for yourself?
Teenage ambitions you remember well

だけどね、君が年老いて一人になったらだよ
君も電話の傍で誰かの電話をずっと心待ちにするようになるよ
君自身が求めてたものはいったい何だったんだろうね?
思い出すのは君が抱いてた身の丈知らずの夢のことかもね

It was the heat of the moment
Telling me what your heart meant
The heat of the moment shone in your eyes

激しく燃え立った感情ってやつだったのかな
君の本心がどこにあるのかを気付かせてくれるね
君の瞳に光った一瞬の激情がそれさ

It was the heat of the moment
Heat of the moment
The heat of the moment shone in your eyes

激しく燃え立った感情ってやつだったのかな
ほんの一瞬の感情
君の瞳に光った一瞬の激情がそれさ

*この後は、アウトロでHeat of the moment を連呼して終わりますので省略します。

Heat Of The Moment Lyrics as written by John Wetton, Geoff Downes
Lyrics © Universal Music Publishing Group, Royalty Network, Songtrust Ave

【解説】
この曲の歌詞はメンバーのJohn Wetton とGeoffrey Downes によって書かれたもので、Wetton は雑誌のインタビューに対して、歌詞の内容は過去に付き合った実在女性に対する謝罪だと語っています。実際に曲を聴いてみると謝罪かどうかは微妙ですが、この曲に関しては歌詞の深読みをする必要は無さそうですよ(笑)。Wetton の話どおりとすれば、第1節は謝罪の言葉にあたるのでしょうが、謝罪というよりも言い訳という気がしないでもありません。難しい単語は使われていませんが、この節が日本人にとって分かりにくいのは描出話法で書かれているからで、I would の前にI thought that を入れて補うと簡単に理解できます。また、この曲の歌詞はコーラスの部分を除けばすべて二行連で韻を踏むという西洋詩の形式にのっとって書かれていますから(和訳を読んで、僕がそのことに敬意を払ったことに気付いた人がいたら嬉しいですが)、Wetton とDownes の二人はしっかりとした教育を受けた人物(恐らくは労働者階級の家庭出身ではない)であろうことが推測できます。fall from grace は、罪を犯して神の恩寵を失うという宗教的な言葉でしたが、そこから転じて人などに嫌われるという意味でも使われるようになりました。wipe the smile right from my face は直訳すれば「顔を拭かれて笑みがさっと消える」ですので、このように訳しました。すべてが過去形で語られていることから、二人が既に別れていることがこの節からは分かります。

第2節のwe would scream together songs unsung はやや難解。incidents arose from circumstance とOne thing led to another の後にscream together という言葉を聞いて僕の頭に浮かんだのは、二人が言い争っている光景で、songs unsung は歌えない歌、つまり、相手を傷つけるような種の言ってはならない言葉だと僕は理解しましたので、このように訳しました。第2節から浮かんでくるのは、若い二人がその若さ故にしょっちゅう口喧嘩をしているといったイメージです。そして、ついに女性はカチンときてブチ切れたのでしょう(heat of the moment)、第3節で描かれているのは二人の別れであり、Telling me what my heart meantは、男の側もそうなることが薄々分かっていたということかと思います。このコーラス部分の3行から、ブチ切れた女性がかなり気の強い女性であったことが窺え、The heat of the moment shone in your eyes からは、きりっと睨みつけるような恐ろしい女性の目が僕の脳裏に浮かびます(汗)。次の第4節はこの歌詞の中で一番難解で、1行目のin Eighty Two は1982年の意味として捉えるのが普通ですが(勿論、ネイティブ話者でもそう受け止めます)、John Wetton がここの部分に関しても手掛かりを残してくれています。彼曰く、Eighty Two は1982年のことではなく場所を指しているとのこと(なのに、ジョークのノリだったのか、92年に行われたコンサートではninety two に言葉を変えて歌ったりもしてるのでややこしいですが・汗)。そこで、第2節でDo you remember when we used to dance?というフレーズが入れられていることや、後に続いているThe disco hot spots という言葉を考え合わせてみた結果、Eighty Two は二人がよく通っていたのであろうディスコの店名であるということ以外の答が僕の頭には浮かんできませんでした(欧米では、店のある通りの番地をそのまま店名にすることは珍しくないんです)。

第6節にteenage という言葉が出てくることから女性がティーンエイジャーだと仮定すると、3行目のYou can concern yourself with bigger things から受けるのは、この世代が抱きがちな実現できそうにもない突飛な夢を口にしている彼女の姿で、4行目のYou catch the pearl and ride the dragon’s wings からは、そのことを鼻で笑うような男の冷やかな態度が目に浮かびます。龍の持つ珠(ドラゴンボール)はどんな願いも叶えてくれる珠であるとされていますが伝説に過ぎませんので「そんな珠があるならそれでも持って、とっととどこかへ行きやがれ」ってな感じでしょうか(笑)。こうなってくると、ディスコで夜遊びしてる歳じゃもうないとその先の夢を語った彼女に対し、まだまだ夜遊びしたい男が鼻で笑ったことからいつものように口喧嘩が始まり、彼女がブチ切れてついに別れることになったという想像も現実味を帯びてきます。第5節のコーラスは、第3節のコーラスとは違って文頭にBecause が入っていることから考えると、第4節の彼女が口にした夢に対する揶揄をここではしているように感じましたので、同じheat でも情熱という言葉に変えました。この節のThe heat of the moment shone in your eyes のeyes は、夢を熱く語る情熱的な目だったのではないでしょうか。この曲の歌詞は付き合っていた女性に対する謝罪だとJohn Wetton が語っていたことは冒頭で触れましたが、次の第6節は、何度聴いても、僕には男が別れた女性をくさしているようにしか聞こえません(笑)。4行目のTeenage ambitions はまさしく、彼女が口にしたのであろうティーンエイジャーが抱きがちな突拍子もない夢ということなのだろうと僕は理解しました。まるで「君は若い頃抱いてたあのバカげた夢も結局叶わぬままに歳を重ねて一人になり、最後はかかってこない電話を待ちわびるような寂しい人になるぞ」とでも言いたげで、気分が悪いです(笑)。第7節のコーラスも3節目と違ってyour heart meant になっていて「君の本心が早く分かって別れるのも早くなったから良かった」と女性を冷笑しているようにしか僕に聞こえないのですが…。まあ、僕は部外者ですからどちらでもいいんですけど(笑)。

Asia がロンドンで結成されたのはこの曲がヒットした前年の1981年。その後、何度か解散と再結成を繰り返し、2024年現在もGeoffrey Downes を中心として精力的に活動中です(John Wetton は2017年にお亡くなりになりました・涙)。因みにAsia というバンド名、バンド名を決める際、メンバーの誰かかマネージャーだかが、メンバーが4人であることから「There’s four guys. Four letters. Well, what about Asia?」と言って提案したことがその由来だそう。大した意味はなかったんですね(笑)。

【第14回】Centerfold / The J.Geils Band (1981)

またまた今回もノリノリ変態ソングを1曲紹介しましょう。僕のこのコーナーを読み続けてくださっている読者の中には「洋楽ってそんな曲ばっかりなんですか?」って思った方もおられるかも知れませんが(汗)、答えはノーです。僕が若かりし頃、好きになった曲がたまたまそんな曲ばかりだっただけなんです。勿論、その頃は歌詞の意味なんて理解できてませんでしたしね(笑)。本曲のタイトルであるCenterfold は、直訳すれば「真ん中で折られてる」ってな意味ですが、この言葉をネイティブ話者が使う時は、普通、ヌード写真やエロ写真を意味しています。と言うのはCenterfoldという単語がアメリカで成人向け雑誌「Playboy」を創刊したヒュー・ヘフナーが使い始めた彼の造語だからで、紙面を二つ折りにしてその真ん中のページをホチキスで綴じるという当時の雑誌の製本方法に目を付けた彼が、見開きのページにその号で一番売りにしたいヌード写真を挿入することを思い付き、そのページをCenterfold と名付けたのです。その理由は、中折れの見開きページならホチキスを外してページを剥がすだけで、ページ2枚大のピンナップに早変わりさせることができるからでした。キーボードのどこかコミカルな音色(チャルメラ風・笑)のイントロで始まるこの曲、リリース後、徐々に人気が上昇して、翌年の2月には全米週間ヒットチャートで1位にランクイン。その強いオリジナル性もあってか、洋楽ファンの中では歴史的名曲のひとつとする意見も多いです。

Does she walk? Does she talk?
Does she come complete?
My homeroom homeroom angel
Always pulled me from my seat
She was pure like snowflakes
No one could ever stain
The memory of my angel
Could never cause me pain

あの娘(こ)、歩いてる?それとも話してる?
いつものようにばっちり決まってる?
って気になるくらい、僕のクラス、クラスのアイドルは
いつだって僕をウキウキさせたもんさ
あの娘は雪の結晶みたいに純粋でね
誰も汚すことなんてできなかった
記憶の中の僕のアイドルが
僕を傷つけることなんてありえなかったんだ

Years go by
I’m looking through a girly magazine
And there’s my homeroom angel
On the pages in-between

ところがさ、何年か経ったある日のこと
ヌード雑誌をペラペラとめくってたらね
僕のアイドルがそこにいたんだ
ページとページのど真ん中にね

My blood runs cold
My memory has just been sold
My angel is the centerfold
Angel is the centerfold
My blood runs cold (Woo!)
My memory has just been sold
Angel is the centerfold

マジ、血の気が引いたよ
だって、僕の思い出が台無しじゃないか
僕のアイドルが脱いでたんだぜ
ページのど真ん中で
ほんと、血の気が引いたよ
僕の思い出が台無しだもの
僕のアイドルがページのど真ん中にいるなんて

Slipped me notes under the desk
While I was thinking about her dress
I was shy, I turned away
Before she caught my eye
I was shaking in my shoes
Whenever she flashed those baby-blues
Something had a hold on me
When angel passed close by

昔さ、机の下からあの娘が伝言を回してきたことがあったんだ
僕が彼女の服の下を想像してた最中にね
だから、恥ずかしくって目を逸らしちゃったよ
彼女が僕を見つめる前にね
僕はビクついてたんだ
彼女があの淡く蒼い瞳を輝かせる時はいつもね
なんか体が固まっちまってたんだ
彼女が僕の傍を通っていく時はさ

Those soft and fuzzy sweaters
Too magical to touch
To see her in that négligée
Is really just too much

あんなモコモコのセーター
触れるなんて夢のまた夢
あの娘のネグリジェ姿を目にするだなんて
それだけでもう大満足

My blood runs cold (Yeah)
My memory has just been sold
My angel is the centerfold
Angel is the centerfold
My blood runs cold
My memory has just been sold (Oh yeah)
Angel is the centerfold
Na-na, na-na-na-na
Na-na-na, na-na-na-na

マジ、血の気が引いたよ
だって、僕の思い出が台無しじゃないか
僕のアイドルが脱いでたんだぜ
ページのど真ん中で
ほんと、血の気が引いたよ
僕の思い出が台無しだもの
僕のアイドルがページのど真ん中にいるなんて

Now, look
It’s okay, I understand
This ain’t no never-never land
I hope that when this issue’s gone
I’ll see you when your clothes are on
Take your car, yes, we will
We’ll take your car and drive it
We’ll take it to a motel room
And take ‘em off in private

まあ
いいさ、分かってる
この世におとぎの国なんてないことはね
それより、この号が売り切れちゃってから
服を着た君に会うことが楽しみだな
君の車に乗って、そう
君の車でドライブするんだ、二人でね
モーテルの部屋に向かって
そのあとセーターやネグリジェをこの手で脱がしちゃう

A part of me has just been ripped
The pages from my mind are stripped
Oh no, I can’t deny it
Oh yeah, I guess I gotta buy it

清い思い出は引き裂かれちゃったし
僕の心から剥ぎ取られちゃった
あー駄目だ、そのこと否定できないよ
そうだ、あの号を買っとかなくっちゃ

My blood runs cold
My memory has just been sold
My angel is the centerfold
Angel is the centerfold
My blood runs cold (Woo!)
My memory has just been sold
My angel is the centerfold
Na-na, na-na-na-na
Na-na-na, na-na-na-na
(Alright! Alright! 1, 2, 3, 4!)

マジ、血の気が引いたよ
だって、僕の思い出が台無しじゃないか
僕のアイドルが脱いでたんだぜ
ページのど真ん中で
ほんと、血の気が引いたよ
僕の思い出が台無しだもの
僕のアイドルがページのど真ん中にいるなんて
(いいかい!いいかい!1、2、3、4で行くぜ!)

*この後、Na-na, na-na-na-na の大合唱に入り、アウトロを経て曲は終了です。

Centerfold Lyrics as written by Seth Justman
Lyrics © Kobalt Music Publishing Ltd.

【解説】
Come on!の掛け声に続いて始まる1節目は、特に難しい部分はなく和訳のとおりです。この節を聞いて目に浮かぶのは、学校の教室(恐らくは高校でしょう)で主人公が憧れのクラスメートの女性の動きを常に注視している姿で、5行目以降のフレーズからは、その女性が汚れのない大変清楚な女性であったのであろうことが窺えます。2行目のcome complete はwith everything を補って考えました。angel の訳語は一般的には天使ですが、天使には性別が無いとされていますし、かと言って女神では大層なような気がしたのでアイドルにしました。マドンナでも良かったんですが、マドンナなんて言葉は若い方にはピンとこないかなと思ったんです(笑)。pulled me from my seat は、座ったままでいられなくさせられたっていう感じですので、こう訳しました。第2節も和訳のとおり。高校を卒業して何年かが経ったある日、girly magazine(ティーンエイジャー風の女性ヌードが満載の雑誌のことで、つまりはエロ本です)のページをめくっていたら、あの憧れの女性が裸になってメインのページを飾っているのを見つけてしまったという訳です。

3節目で語られているのは、そのヌード姿を見た男の気持ちで、My memory has just been sold からは、自分の中の彼女に対する清き思い出が、エロ本なんかの為に売り飛ばされてしまったとショックを受けている様子が思い浮かびます。第4節では再び高校時代の回想に戻り、この節の前半からは、男がその頃より既に彼女に対して性的な興味を抱いていたことが、そして、5行目以降の後半では、そんな彼女の存在に男が倒されていた様子が想像できます。Something had a hold on me は、直訳すれば「私を支配する何かがあった」ですが、言い換えれば、彼女の魅力の前ではひれ伏すしかなかったということでしょう。正直なところ、Something had a hold on me when angel passed close byのフレーズを聞いた時、Somethingが彼女の手だと想像した僕の脳裏には、純な男と擦れ違う度に男の股間をきゅっと握りしめるようなイタズラをする彼女の姿が浮かんだのですが、第1節で男がShe was pure like snowflakesと語っているので、それは想像を飛躍させ過ぎだろうと考え直しました(汗)。と、まあ、ここまでは良いのですが、彼女のあられもない姿を見て興奮してしまったのか、第5節から急にこの男の様子がおかしくなってきます。soft and fuzzy sweaters は、ふわっとしたモコモコのセーターといった感じのもので、多くの日本人にはこの第4節がいったい何のことを言っているのか良く分からないと思いますが、当時のgirly magazineがどのようなものであったのかを知ってもらえば、理解するのは簡単です。あの頃のアメリカのgirly magazineと呼ばれる類のエロ本の構成では、先ず前述のようなセーターを着た女性がベッドの上で寝そべる姿なんかが紙面に登場し、徐々にセクシーな服へと着替えながらやがてネグリジェ姿に、そして最後は全裸になるという流れが定番だったのです(笑)。

6節目は第3節のコーラスの繰り返し。そして第7節では、彼女のヌードを見た男が突然、変態の本領を発揮して妄想を始めます。2行目のThis ain’t no never-never land(この文は二重否定になってるのでちょっとややこしいですね)でnever-never land(清廉潔白な世界)じゃないものはないと言い訳を作った後に男の妄想は加速し、勝手に彼女の車を駆って二人でドライブに出掛けるどころか、モーテルの部屋に連れ込んで彼女の服を脱がしたいという変態的欲望にまで発展します(笑)。take ‘em off in private のthem はfuzzy sweaters やnégligée のことを指していると考えて間違いないでしょう。in private というのは、面と向かって直接という意味です。ところが、そんな風に妄想を膨らませた男は、最後の第8節で一転してOh yeah, I guess I gotta buy it という言葉を口にしています。変態男は気付いたようですよ!自らの妄想は実現不可能、だから本だけでも買っておこうと!(笑)。

この曲の特徴のひとつとしてNa-na-na, na-na-na-na の連呼が曲中に何度も入ることが挙げられますが、勿論このNa-na-na に意味はありません。強いて言うなら最後にAlright! Alright! 1, 2, 3, 4!と叫んでいるように「みんな、Na-na-na を口遊みながらこの男の気持ちを共有しようぜ」と聞く者に対して促している感じでしょうか(←誰が共有するかい!笑)。

【第15 回】Hard To Say I’m Sorry / Chicago (1982)

変態ソングで飛ばした後は、シンプルで美しい響きの曲を1曲。恋人との冷え込みかけている関係に気を揉む男の気持ちをベース兼ボーカル担当のPeter Cetera が清涼感のある声で歌い上げるChicago のHard To Say I’m Sorry です。歌詞は分かり易く、プレ・コーラスとコーラス部分を除くと歌詞の節が2節しか無いという大変シンプルな構成ですが、それでいて一度聴くと耳に残って離れることのないこの曲は、名曲と呼ぶに相応しいものでしょう。このバンドがデビューした年はなんと1967年。最初はChicago Transit Authority(シカゴ交通局)という訳の良く分からぬバンド名でしたが、シカゴで高架鉄道などを運営する 本物のシカゴ交通局からクレームを受け、翌年にTransit Authority の名を外してバンド名をChicago に変更 したというエピソードがあります。メンバーの面子はかなり入れ替わったものの現在も活躍中で(この曲でボーカルを担当しているPeter Cetera は1985年に脱退)、これまでにリリースしたアルバムが40枚に迫りつつあるというモンスター級バンド。それがChicago です。

"Everybody needs a little time away"
I heard her say, from each other
Even lovers need a holiday
Far away, from each other

「少し距離を置く時間って、誰しも必要よ」
って彼女の声が聞こえたんだ、お互いそうかな
恋人同士でさえ、時には必要なことなんだよな
お互い遠くへ離れてみるってことがさ

Hold me now
It’s hard for me to say I’m sorry
I just want you to stay

僕を抱きしめておくれよ、今すぐに
ごめんって言うのが僕には簡単じゃないから
ただ黙って傍にいて欲しいんだ

After all that we’ve been through
I will make it up to you, I promise to
And after all that’s been said and done
You’re just a part of me I can’t let go

この苦境を二人で乗り越えたらさ
埋め合わせはするよ、約束だ
なんやかんや言ったり、したりしてもさ、結局のところ
君と僕とは一身同体、離れることのできないね

Couldn’t stand to be kept away
Just for the day, from your body
Wouldn’t want to be swept away
Far away, from the one that I love

遠ざけられるのは耐えられないよ
一日の半分でさえ、君の傍から
流されたくないんだ
ずっと遠くへ、僕が愛する人の傍から

Hold me now
It’s hard for me to say I’m sorry
I just want you to know
Hold me now
I really want to tell you I’m sorry
I could never let you go

僕を抱きしめておくれよ、今すぐに
ごめんって言うことが僕には簡単じゃないことを
ただ君に分かって欲しいんだ
だから、僕を抱きしめておくれよ
本当はごめんって言いたいんだ
君を手離すなんてできやしない

After all that we’ve been through
I will make it up to you, I promise to
And after all that’s been said and done
You’re just the part of me I can’t let go
After all that we’ve been through
I will make it up to you, I promise to
You’re going to be the lucky one

この苦境を二人で乗り越えたらさ
埋め合わせはするよ、約束だ
なんやかんや言ったり、したりしてもさ、結局のところ
君と僕とは一身同体、離れることのできないね
この苦境を二人で乗り越えたらさ
埋め合わせはするよ、約束だ
君は幸運の持ち主になるだろうね

*アルバムでは、この後の間奏に続いて「Get Away」というブラスの音のパンチが利いた元来のシカゴらしさが漂う短い曲が 同じトラックに収録されていますが省略します。

Hard to Say I’m Sorry Lyrics as written by David Walter Foster, Peter P. Cetera
Lyrics © Universal Music Publishing Group, Peermusic Publishing

【解説】
ピアノのしっとりとした音色とチェロの低音が組み合わされた印象的なイントロに続く第1節に難解な 部分はありません。Even lovers need a holiday は、直訳すると「恋人同士でも休暇は必要」ですが、それ が「男女の関係においては時に一休みも必要」という意味で使われていることは容易に想像がつきますね。 次の2節目のIt’s hard for me to say I’m sorry から分かることは、彼女が恋人と距離を置こうとしている原因 が男の側にあるということですが、男は自身に原因があることを認めつつも、謝るのは苦手だから(そのこ とは君も分かってるだろうから、何も言わずに)今すぐに抱きしめて欲しい、傍にいて欲しいと彼女に懇願 しています。なんか、身勝手な話ですよね。僕に言わせれば、ごめんの一言も素直に言えない奴なんて、そ の時点でアウトな人間です(笑)。しかも、彼女は耳を貸してくれなかったのか、第3節ではI will make it up to you, I promise to なんて餌をまくような言葉を口にしてます(←ダメだこりゃ・笑)。

第3節のAfter all that we’ve been through のwe’ve の部分は、ピーター・セテラの歌い方のせいなのか、何度この曲を聞いても未だに僕は聞き取れません(ここのbeen through は、いろんな経験や苦労をした、いろんな目に遭った、辛かった、苦境を乗り超えたといった意味合いです)。わざと聞こえないようにしてるのではないかと邪推してしまうくらいです。なぜなら、聞き取れない部分にI’ve を当てはめる人は、訪れた苦境に対して自分だけが苦労したと思うような身勝手な性格の人、you’ve を当てはめる人は相手に苦労をかけてしまったと思うような謙虚な性格の人、we’ve を当てはめる人は二人で問題を解決していこうとするような協調性のある性格の人と、聞いた人がそこに何を当てはめるかによって、その人の性格が出るような気がするからです(これもまた、考え過ぎですかね…。笑)

第4節も特に難解な部分は無し。2行目のthe day はand the night が省略されていると考え、一日の半分と訳しました。第5節は第2節の繰り返し。第6節も和訳のとおりですが、最後のYou’re going to be the lucky one は「僕と仲直りしたら君はラッキー」と上から目線でものを言っているようにしか僕には聞こえ ません。やはり、この男はダメな奴です(笑)。この曲を作詞した音楽プロデューサーのDavid Foster(こ の曲で当時人気のジャンルであったバラード路線に舵を切り、低迷していたシカゴを復活させました)は4 回離婚しているそうですが、デビッドがこの歌詞に出てくるようなダメ男だったことこそがその原因ではな かったのかと邪推してしまうのは僕だけでしょうか? と、あっという間に解説終了。やはり、シンプルな歌詞の曲はいいですね。解説が短くて済みますので(笑)。

【第16回】Caught Up In You / 38 Special (1982)

今回も前回に続いてシンプルな曲をひとつ。ガイジンの大好きなクサい歌詞の並ぶラブソングというかバラードです。浮名を流していた一人の男が一人の女性と出会ったことから真の愛に目覚めるという歌詞の内容は凡庸そのものですが、太陽がさんさんと照りつけるビーチ沿いの街の通りを歩いているような気にさせる爽やかなメロディーラインのイントロで始まるこの曲は、ボーカルのDon Barnes の声も曲にはまっていて歌詞のクサさとは裏腹になかなかイケてます。Caught Up In You は1974年にフロリダ州のジャクソンビルでDon BarnesとDonnie Van Zant(Sweet Home Alabama をヒットさせた人気ロックバンドLynyrd Skynyrd でボーカルを担当していたRonnie Van Zant の弟)によって結成された38 Special というバンドがリリースした曲で、82年の米国ビルボード社年間チャートでは53位でした。38 Special と聞いて最初に思い浮かぶのは38口径の拳銃用の弾丸ですが(ミリオタ以外の方には思い浮かびませんか?笑)、このバンドの名前もズバリその拳銃の弾の名前に由来しています。伝えられているところでは、彼らが少年時代、倉庫に忍び込んで演奏の練習をしていたところ、警察に通報されて警官が駆け付け、その警官が「Let this 38 special do the talking」と叫んで倉庫の入口の南京錠を38口径の拳銃(その頃のアメリカの警官が持っている拳銃は今のような自動式拳銃ではなく、大抵が38口径の回転式拳銃でした)で撃って吹き飛ばしたというエピソードがバンド名の由来だそうです(真偽のほどは分かりませんけども・笑)。

I never knew there’d come a day
When I’d be sayin’ to you
"Don’t let this good love slip away
Now that we know that it’s true."

君にこんなことを言う日が
来るなんて思ってもいなかったよ
「この愛を逃しちゃいけない
それが本物だってこと、僕たち分かってるじゃないか」なんてね

Don’t, don’t you know the kind of man I am?
No, said I’d never fall in love again
But it’s real, and the feeling comes shining through

僕がどんな男なのか君は分かってないのかな、分かってない?
分かってないよね、もう二度と恋することなんてないって僕は言ったけど
それは本心だし、すごくときめいてる

I’m so caught up in you, little girl
And I never did suspect a thing
So caught up in you, little girl
That I never wanna get myself free
And baby, it’s true, you’re the one
Who caught me, baby, you taught me
How good it could be

だって、僕は君に夢中なんだもの
その気持ちを疑うことなんてなかったよ
君に夢中なんだからそりゃそうさ
僕は夢中な気持ちのままでいたいんだ
ほんとさ、君が唯一の女性
僕を夢中にさせるね、君は教えてくれたんだ
それがどんなに素晴らしいことなのかをね

It took so long to change my mind
I thought that love was a game
I played around enough to find
No two are ever the same

こんな気持ちになるまでには随分と時間がかかったな
恋はゲームだなんて僕は思ってたからね
でも、いろいろ遊びまわってようやく分かったよ
君の代わりになる女性は二人といないってね

You made me realize the love I missed
So hot, love I couldn’t quite resist
When it’s right, the light just comes shining through

君は気付かせてくれたんだ、僕が逃してた本当の愛をね
とっても熱い、抗することのできない愛をさ
正しいことには、自ずと光が差すものなんだ

I’m so caught up in you, little girl
You’re the one that’s got me down on my knees
So caught up in you, little girl
That I never wanna get myself free
And baby, it’s true, you’re the one
Who caught me, baby, you taught me
How good it could be

ほんと、僕は君に夢中なんだ
僕をひざまずかせたのは君だけさ
君に夢中なんだからそりゃそうさ
僕は夢中な気持ちのままでいたいんだ
ほんとさ、君が唯一の女性
僕を夢中にさせるね、君は教えてくれたんだ
それがどんなに素晴らしいことなのかをね

Fill your days and your nights
No need to ever ask me twice, oh no
Whenever you want me
And if ever comes a day
When you should turn and walk away, oh no
I can’t live without you
I’m so caught up in you
Yeah, yeah, yeah

一日中、君の傍にいるよ
そうして欲しいって僕に毎度頼む必要もないんだ、そう、ないのさ
いつでも君の傍にいる
もし、君が僕に背を向けて去ってく日が
来るようなことがあれば、あー、ダメだ、ダメだ
僕は君なしで生きていけないよ
だって、僕は君に夢中なんだもの

*この後は同じ歌詞のコーラスが続き、長いだけなので省略します。

Caught Up in You Lyrics as written by Jim Peterik, Frank Sullivan
Lyrics © Universal Music Publishing Group, Sony/ATV Music Publishing LLC, Warner Chappell Music, Inc.

【解説】
この曲の歌詞の共同作者であるJim Peterik は、Caught Up In You がリリースされた同じ1982年に映画「ロッキー3」のテーマソングEye of the Tige の歌詞をSurvivor というバンドの為にも書いて提供していて、映画の世界的ヒットと共にEye of the Tiger も大ヒットしました。まあ、そんなことはさておき、早速歌詞を見ていきましょう。この曲の歌詞も全体的にシンプルにまとめられていて、難解な単語も使われていませんが、部分的にはやや分かりにくいところもあります。第1節は和訳のとおりで、slip away(手からすり抜ける、すべり落ちるというイメージ)という言葉がうまく使われていますね。第2節のI’d never fall in love again は、恋なんてもう懲り懲りだから、二度としないと言っているのではなく、君以外の女性ともう恋をすることはないという意味でしょう。the feeling comes shining through からは、キラキラとした男のときめきが感じられ、それに続く第3節でI’m so caught up in you と男が語ることで、ここで初めて、男がなぜ他の女性ともう恋をする気がないのかや、なぜときめいているのかの理由が明かされます。つまり、これを最後の恋にするという覚悟を決めさせるくらいに男は彼女に夢中だという訳です。第3節の2行目のa thingは、I’d never fall in love again のことを指していると考えるのが自然で、I never wanna get myself free の文は、その決意を捨てるようなことはしたくない(覚悟を決めている自分を解き放つようなことはしたくない)という気持ちを表していると考えました。この節には、little girl やbabyなど、洋楽の歌詞にしばしば登場する相手に対する呼びかけの言葉が挿入されていますが、こういった呼びかけの言葉を和訳した文に無理矢理付け加えると違和感のある日本語の文になる時もありますので(まさしく今回がそうです)、そういう時は無視してしまう勇気も必要です。呼びかけの言葉は、その種類によって二人の関係性の親密度を推し量る目安となりますが、訳さないからといって、その文の意味が通じなくなるようなことはまずありません。

第4節も和訳のとおりで、1行目のchange my mind は、彼女に対して心変わりしたと言っているのではなく、I’d never fall in love again という気持ちにmind がchange するまで時間がかかってしまったという意味でしょう。No two are ever the same はNo two girls are exactly alike に置き換えて考えました。5節目のthe love I missed は「焦がれていた真の愛」とも取れますが、男がplay around(遊び回る)していたことを考えると「そのせいで逃してしまっていた真の愛」と捉えた方がぴったりときます。3行目のWhen it’s right, the light just comes shining through がやや難解なのは、right とlight で韻を踏ませたり、第2節で使ったcomes shining through が強引に使われていたりと、なんだか無理矢理感のある文になっているせいで、When it’s right のit が何かなのを考えれば(恐らくHow good it could be のit にも同じことが言えます)それは、ひとりの人を心から愛する行為であるとしか思えなかったので、このように訳しました。6節目は第3節のと同じフレーズの繰り返し。第7節のFill your days and your nights はwith activities や with happiness を補って考え、それらのことを含めて「傍にいる」と訳しました。2行目のtwice の使い方は面白く、1行前のdays and nightsに対応しています。この節の1~3行目のフレーズから浮かんでくるのは、自分本位に遊び回って彼女のことをほったらかしにしていたのであろうかつての男の姿ですが、4行目以降を聴くと、今では彼女がいなくなればI can’t live without youと思うほどに彼女を真摯に愛していることが分かります。

1977年にアルバムデビューした38 Special。このバンドも解散という言葉を知らない息の長いバンドでして、長年バンドのリーダー格であったDonnie Van Zant は健康上の問題で2013年に音楽活動から引退していますが、その後はDon Barnes が38 Special のメンバー(結成時から残ってるオリジナルのメンバーはBarnes だけ)を率いて活動中。余談ですが、Donnie の兄のRonnie Van Zant は、38 Special がアルバムデビューしたのと同じ1977年、Lynyrd Skynyrd が人気絶頂にあった最中、飛行機の墜落事故で亡くなっています(享年29歳)。事故原因は飛行機の燃料切れでした(汗)。

【第17回】Lost in Love / Air Supply (1979)

もう一曲、今回もクサい歌詞で盛り上がってみましょう(笑)。本日お届けするのは、オーストラリアのメルボルンで1975年に結成されたAir Supply というバンドのLost in Love という曲です。中学生だった当時、英語で歌うバンドはアメリカとイギリスにしかいないと思っていた僕に、オーストラリアにもバンド 活動をしている人がいるんだと教えてくれた懐かしの曲でもあります。よく考えればって言うか、よく考えるまでもなくオーストラリアって英語圏ですもんね(笑)。そして、このAir Supplyの背中を追うかのように、Men At Work やRick Springfield、INXS といったアーティストが80年代にオーストラリアから世界へ次々と羽ばたいていきました(シドニーで結成されたAC/DC もオーストラリア出身として有名ですが、バンドを結成した中心メンバーはスコットランド生まれのイギリス人です)。

I realize the best part of love is the thinnest slice
And it don’t count for much
But I’m not letting go
I believe there’s still much to believe in

愛の一番いいところって、その浅はかさだってことは分かってる
まあ、そのことに価値はないんだけどね
でも、僕は君を手離さないよ
信じるべきことがまだたくさんあるって信じてるから

So lift your eyes if you feel you can
Reach for a star and I’ll show you a plan
I figured it out
What I needed was someone to show me

だから見上げてみて、星に手が届くと感じたらね
そしたら僕は、どうしたら二人が歩み寄れるのかを教えるよ
って言うか、僕には分かったんだ
僕に必要なのはそれを教えてくれる誰かだって

You know you can’t fool me
I’ve been lovin’ you too long
It started so easy
You want to carry on (Carry on)

君は分かってるよね、僕は騙されないって
僕はずっと君を愛してきた、長すぎるくらいね
簡単に始まっちゃった恋だけど
君だって続けたいんじゃないのかな

Lost in love and I don’t know much
Was I thinkin’ aloud and fell out of touch?
But I’m back on my feet
And eager to be what you wanted

恋に夢中で我を忘れちゃってるし、自分でもよく分かんないんだけど
僕ってずけずけとものを言い過ぎたのかな、それで距離を置いちゃった?
でもね、僕は立ち直ったよ
今はね、君の望むような人に唯々なりたいんだ

So lift your eyes if you feel you can
Reach for a star and I’ll show you a plan
I figured it out
What I needed was someone to show me

だから見上げてみて、星に手が届くと感じたらね
そしたら僕は、どうしたら二人が歩み寄れるのかを教えるよ
って言うか、僕には分かったんだ
僕に必要なのはそれを教えてくれる誰かだって

*この後はプレコーラスとコーラスで同じフレーズが2回づつ続き、アウトロでlost in love を連呼して曲は終わります。

Lost in Love Lyrics as written by Graham Russell
Lyrics © BMG Rights Management, Universal Music Publishing Group, Sony/ATV Music Publishing LLC

【解説】
アコースティックギターが奏でるどこか爽やかなメロディーラインに合わせ、関係に少し溝ができているのであろう恋人に対してもう一度やり直したいという思いを伝えたい男の気持ちをRussell Hitchcock(こんな苗字の人、本当にいるんですね・笑)とGraham Russell の二人が軽やかに歌うこの曲は、1980年5月の米国ビルボード社月間チャートで4位にランクイン。Air Supply がリリースした曲の中では最初の大ヒット曲となりました。先ずタイトルのLost in Love ですが、lost love だと失恋なので、失恋の歌と勘違いしてしまう日本人も多いようですがその逆です。この曲でのlost in love はI’m lost in love の意味で、I’m lost は、私は自分を失っている状態にある、我を見失っている状態であり(道を尋ねる時なんかに使うと、道に迷ったの意味にもなります)、何のせいでそうなっているのかというとin に続くlove によってです。つまり、この歌詞におけるLost in Love は、我を見失うほど恋(愛)に迷わされている、熱中している状態ということになります。

それでは、歌詞部分に進んでみましょう。この曲の歌詞を書いたのはボーカルのGraham Russell で、たった15分で歌詞を書き上げたと本人は語っています(誇張の可能性ありですが・笑)。第1節に難しい英語は使われてはいないものの、1行目のthe thinnest slice は難解です。直訳すれば「一番薄い切れ端」ですが、それでは何のことやらさっぱりです。thin という言葉は浅はかという意味で使われることもありますので(日本語でも考えが薄っぺらって言うことがありますよね)、ここでのthe thinnestslice は、恋する人間がしばしば、深く考えもせずに情熱だけでやみくもに行動してしまうようなことを意味しているのではないかと僕は思います。2行目のit don’t count for much のcount for much は価値が無いという意味でよく使われる語句ですが、ここで何かお気づきになられた方はおれれますか?「it don’t っておかしいんじゃない?」って思われた方、正解です!正しい文法だとit doesn’t ですね。ですが、ここではわざと間違っているんです。ビートルズの曲の歌詞にもmy baby don’t care なんてのがありますが、三人称にdon’t を使うと、なんと言いますか、間違った文法で平気で話す奴みたいな、つまり、ちょっと悪ぶってるとか、ちょっと不良っぽいといった印象を聞く者に与えるような気がします。この歌詞の主人公の男も、きっとそういった人物設定なのでしょう。3行目のletting go は、ここではto make a person free の意味で用いられています。だから、you が入っていなくとも、この歌詞での流れではletting go させたくない相手はyou しかありません。

第2節も中学校で習うレベルの単語しか並んでないというのに、いつものパターンと同じく難解です。特に2行目のa plan が何を指しているのかが良く分かりません。そこで、その前のSo lift your eyes if you feel you can reach for a star というフレーズに目を向けてみると、僕にはこれが「もう一度思い直して僕に振り向いてくれるなら」にしか聞こえませんでした。なので、そこから考えるとこのa plan は、歩み寄る(仲直りの)方法、仕方であるとしか考えられなかったので、このように訳しました。そして、男はそうは思ったものの、いや違うと思ったのでしょう。その気持ちが3行目以降のI figured it out what I needed was someone to show me につながっていると僕は考えます。つまり「歩み寄る方法を教えてもらわないといけないのは僕の方だ、僕の前に姿を見せてその方法を僕に教えて欲しい」と恋人に懇願していると僕は理解しました。3節目のyou can’t fool me は「私は騙されないぞ」という意味として日常会話でも良く使われるフレーズで、1行目と2行目からは「君が嘘を言って僕を遠ざけようとしたって、付き合いが長いんだからすぐにそれが嘘だと分かる」という男の気持ちが読み取れます。3行目のIt started so easy から感じるのは、二人の出会いがナンパのようななんか軽い出会いだったのではないかということですが、2行目で男がtoo longと言っているように、恋の始まりはそんな軽いものであったとしても二人の付き合いは既に長い年月を経ていることが推察され、その事実に対してYou want to carry on という言葉が続いているのでしょう。じゃないと、ただの上から目線の言葉になってしまいますが、この後の第4節を聞けば男が上から目線でものを言ってはいないことが直ぐに分かります。

第4節の2行目もまたまた難解で、think aloud というのは、思ってることをはっきり口に出して言うという意味であり、fell out of touch はkeep in touch とは逆の状態を表す語句です。恐らく男は、女心を考えることなく遠慮なくものを言ってしまうような性格の人間で、男の何かの言葉に傷ついた彼女との間にいつの間にか距離ができてしまい、なんとなくお互いが会うのを避けているといった光景が目に浮かびます。その状況をなんとか変えたいという思いが語られているのがこの歌詞の流れであり、男は最後にBut I’m backon my feet and eager to be what you wanted という言葉で締め括っています。be(get) back on one’s feet も日常会話ではよく聞くフレーズで、立ち直るや回復するといった、悪い状態から元に戻るという意味で使われますが、ここでは反省したの意味もこもっているように感じます。つまり、男は心から彼女とよりを戻すことを望んでいるのであり、その為には彼女の望むような男になるとまで言っている訳です。因みに、昔の僕にはReach for a star の部分がなぜかビーチパラソルと聞こえていて(汗)、意味も分からないまま夏になればよくこの曲を聴いていました。そのせいで、今でも夏が来るとこの曲を聴きたくなります(笑)。

【第18 回】The Rose / Bette Midler (1980)

今回は心に沁みる曲を一曲紹介しましょう。女優のBette Midler(ベット・ミドラー)が歌った名曲The Rose です。なぜ女優が歌っているのかというと、この曲がジャニス・ジョプリンの生涯を描いた同名の映画の主題歌だからで、Bette Midler がこの曲を熱唱するシーンが映画の中に出てきます。ただ、ブロンディのCall Me と違ってこの曲は映画の為に新たに作られたものではなく、シンガーソングライターのAmanda Mcbroom(女優も兼業していて、昔のアメリカのテレビドラマなんかを見てると、端役で登場している姿を偶に目にします)の持ち歌でした。映画の主題歌を探していることを知った彼女の友人が、関係者にこの曲を薦めたことから主題歌として採用されることになったのです(こんなの讃美歌じゃないかと、映画の担当者に一度は採用を却下されたようですが)。Amanda 本人の談によると、曲は既に1970年頃に完成していて、当時、彼女が愛車で高速道路を飛ばしていた際、カーラジオから「Your love is like a razor. My heart is just a scar」という歌声(Leo Sayer が歌うMagdalena という曲でした)が流れてきて、そのフレーズを大変気に入ったことがThe Rose の誕生につながったそうです。Amanda はその部分を聞いた瞬間、その頃の自分はまだ若かったので、愛がlike a razor であることには同意できないと思ったけれど、それをきっかけに自分は愛のことを考えたことがあるだろうかと自問し始めると、あっという間に言葉が頭の中に湧き出してきて止まらなくなり、家にすっ飛んで帰って、その日のうちに歌詞を書き上げたとも述べています。

Some say love, it is a river
That drowns the tender reed
Some say love, it is a razor
That leaves your soul to bleed
Some say love, it is a hunger
An endless aching need
I say love, it is a flower
And you, its only seed

人はこう言うの、愛は川だって
柔らかな葦が流されてしまうね
人はこう言うの、愛は鋭い刃だって
魂を傷つけてしまうね
人はこう言うの、愛は渇望だって
疼くような願望がどこまでも続くね
でも、あたしはこう思うの、愛は花だって
そしてあなたが、その唯一の種なんだよね

It’s the heart, afraid of breaking
That never learns to dance
It’s the dream, afraid of waking
That never takes the chance
It’s the one who won’t be taken
Who cannot seem to give
And the soul, afraid of dying
That never learns to live

心ってのは、折れることを恐れてしまうもの
踊れるようになんてなる訳ないみたいにね
夢ってのは、目覚めることを恐れてしまうもの
チャンスなんてつかめっこないみたいにね
愛を受け入れることができない者に
愛を与えるなんてこと、できそうにないよね
そして魂ってのは、その死を恐れてしまうもの
魂が永遠だなんてことはないのにね

When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong
Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows
Lies the seed that with the sun’s love
In the spring becomes the rose

あまりに夜が孤独過ぎて
ゴールへの道程も長過ぎる時って
あなたは思うわよね、愛って
ただ幸運で強い人の為にあるものなんだって
でも、冬を思い出してみて
ひどく積もった雪のずっと下でね
眠る種のことを、太陽に育まれる種のことを
春にバラの花を咲かせるね

The Rose Lyrics as written by Amanda Mcbroom
Lyrics © Word Collections Publishing, Warner Chappell Music, Inc.

【解説】
この曲の歌詞はこれまで何度かこのコーナーで紹介した曲と同じように二行連で韻を踏むという西洋詩の形式で書かれていますが、他の同種の歌詞とは完成度が比べ物にならないくらい高いですし、その響きも甘美で聴くものをたちまち魅了します。この詩を書いたAmanda Mcbroom も、かなりレベルの高い教育を受けた人なのでしょう。そんなこともあってか、The Rose の歌詞は中学校で習うレベルの語彙しか使われていないのに、日本語に訳すとなるとなかなか苦労します(汗)。

Some say love, it is a river で始まるこの歌詞はあまりにも有名で、この歌は多くの人の手によって和訳されていますが、その後に続くThat drowns the tender reed のreed を「葦」と単に訳して終わるだけで、それが何なのか、なぜなのかについてきちんと考える人はほとんどいないようです。確かにreed は川辺などに茂る植物の葦の意味ですが、植物の葦がdrown する(溺れる)ことはありません。水に溺れるのは人か動物(場合によっては昆虫もですかね)だけでしょう。そのことを考えた時、僕にはフランスの哲学者のとある言葉以外、頭に思い浮かべることができるようなものはありませんでした。「人間は大自然の中では一本の葦のような弱い存在に過ぎないが、人間は単なる葦でなく考える葦である」という言葉です。つまり、ここでのreed は「人間」の代替語として使われていることに疑問の余地はなく、か弱い人に対して試練を与えるのが愛であることを暗喩しているのです。第1節では、愛とは何なのかという問いかけが続いたあと、love, it is a flower, and you, its only seed との結論に主人公は達しますが、その結論とは「人は誰しも人を愛する能力(種)を持ってはいるけど、その能力を開花させることができるかどうかは本人次第」ということではないかと僕は考えます。

第2節も英語として理解するのが難かしいと言うよりも、うまく日本語に置き換えることが難しく、韻を踏んでいる原文を大切にしようとすれば尚更そうなります。1行目から6行目までは2行がワンセットになっているフレーズで、すべてIt’s で始まっていますが、このIt’s はlove を意識しつつも形式主語として使われていると考えるべきでしょう。最初の2行を例にすると、the heart はafraid of breaking しているのであり、そのafraid が何なのかをthat 以下の文が補足しています。ここでのnever learns to dance は「そんなこと私にできるだろうか?」といった人が持ちがちな不安や怖れを比喩しているのではないかと僕は思いました。アメリカ人なら「私にプロムの相手なんか見つかりっこない」と受け止める人もいるかも知れませんね。第2節に出てくるlearns to はすべて、何かができるようになるの意味で使われています。It’s the one who won’t be taken, Who cannot seem to give も難解で、the one who won’t be taken は受け取られることがない人、即ち、受け止めることがない、もしくは受け容れない人であり、そんな人がgive することはcannot seem to(やってはみるんだけどもできないというニュアンス)だと言っていて、take とgive が対になっています。言い換えるなら、One who won’t be taken love can’t seem to give love であり、まさしく、人間関係の基本となるギブ&テイクというやつですね。And the soul, afraid of dying that never learns to live のフレーズもとても難しく、僕にはdying が人の死ではなく魂の死としか聞こえなかったのでこう訳しました。

最後の第3節はここまでと打って変わってとても分かりやすいです。強いて解説を入れるとすれば2行目のthe road。このthe road は真の愛に目覚める、真の愛を得るといったことのゴールへの道程を意味していて「孤独にもがくあなたはそんなゴールに達することができるのは幸運であったり、メンタルの強い人だけだと思うだろうけど、そうじゃないよ」と語り手は伝えようとしています。なぜそうじゃないのか?それは、和訳のとおりです。あぁー、ほんと、素晴らしい歌詞ですよね。ほぼピアノだけの伴奏で静かに、そして力強く歌われるこの歌を聴いて勇気づけられた人はきっと多くいることでしょう。世界中にたくさん。

【第19 回】Girls Just Want to Have Fun / Cyndi Lauper (1983)

前回のThe Rose と同じように人を勇気づける、特に女性たちを勇気づける曲を今回もご紹介しましょう。1983年にリリースされたCyndi Lauper が歌うGirls Just Want to Have Fun です。当時の日本では「ハイスクールはダンステリア」という意味不明な邦題で売り出されたので、僕を始めとしたおっさん連中はそっちのタイトルの方が馴染みがあるかも知れませんね。この曲が全世界でヒットした時(ビルボードの1984年度年間ヒットチャートでは全米第15位)、シンディは既に30歳。年齢に見合わぬその奇抜な髪の色(12歳の頃から既にそうで、いじめの対象になって石なんかもよく投げつけられたと本人は語っています)とファッションやMV でのファンキーな動作から、日本では「シンディ・アーパー」と呼んだりする者もいましたが(ほんと失礼ですよね・笑)、人を見かけで判断するのは大間違い、彼女はおつむの弱い女性なんかでは決してなく、とても賢く、苦労人で(継父に入浴姿をのぞき見されて17歳で家出し、高校も退学、その後はひとりで働きつつ自力で様々なことを学びながら下積み生活を送りました)、それでいて、ものすごく優しい心を持っている素敵な方なんです(慈善活動なんかにも熱心で、筋金入りのフェミニストとしても知られています)。実はこの曲、新曲ではなく、1979年にRobert Hazard という男性歌手が作詞作曲してデモ録音をしていた同名の曲(当時はリリースされなかった)のカバー曲で、男性を主人公として書かれてあった歌詞をCyndi が主人公を女性に変えて手直しを入れました。曲調もHazard 版はハードロック調であるのに対し、Cyndi 版ではシンセサイザーを多用したニューウェーブなポップ調に変わっています(但し、Cyndi 版でもメロディーラインはある程度継承されています。興味のある方は一度、聴き比べてみてください)。この曲で一気にメジャーデビューを果たしたCyndi Lauperは2年後の1985年にアルバムTrue Colorsをリリースして再び大ヒット曲を次々と生み出し、その凄まじいレコード販売数から世界で最も売れているアーティストの一人となりました。そんな大成功から時が流れるのは早いもので、彼女も今や70歳。ですが、その歳になっても相変わらず髪を紫色に染めたりしています。流石ですよね、元祖ファンキー姉さんは(笑)。

I come home in the mornin’ light
My mother says, "When you gonna live your life right?"
Oh, mama dear, we’re not the fortunate ones
And girls, they wanna have fun
Oh, girls just wanna have fun

あたしが朝帰りしたらさ
母さんが言うの、「あんたはいつになったらまともな人生を歩む気なの?」って
あー、ママ、あたしたちってママの時代みたいな女じゃないのよ
今の女の子ってのはね、楽しく過ごしたいの
そう、とにかく楽しみたいのよ

The phone rings in the middle of the night
My father yells, "What you gonna do with your life?"
Oh, daddy dear, you know you’re still number one
But girls, they wanna have fun
Oh, girls just wanna have

真夜中に電話が鳴ったらさ
父さんが声を張り上げるの、「おまえはこれから先どうするつもりなんだ?」って
あー、パパ、パパはまだ男の方が偉いみたいな時代だと思ってるんだろうけど
今の女の子ってのはね、楽しく過ごしたいの
そう、いろんなことでね

That’s all they really want
Some fun
When the workin’ day is done
Oh, girls, they wanna have fun
Oh, girls just wanna have fun

ほんと、女の子はみんな何か楽しみが欲しいの
ただそれだけよ
仕事をし終えたらさ
女の子ってのはね、楽しく過ごしたいの
そう、とにかく楽しみたいのよ

Girls, they want, wanna have fun
Girls, wanna have

女の子ってのはね、楽しく過ごしたいの
いろんなことでね

Some boys take a beautiful girl
And hide her away from the rest of the world
I wanna be the one to walk in the sun
Oh, girls, they wanna have fun
Oh, girls just wanna have

男の子ってさ、きれいな子と付き合いだすと
狭い世界にその子を閉じ込めちゃうじゃない
でも、あたしは太陽の下を歩く女になりたいの
女の子だって楽しく過ごしたいんだもの
そう、いろんなことでね

That’s all they really want
Is some fun
When the workin’ day is done
Oh, girls, they wanna have fun
Oh, girls just wanna have fun

ほんと、女の子がみんな求めてるのは
何か楽しみが欲しいってことだけ
仕事をし終えたらさ
女の子ってのはね、楽しく過ごしたいの
そう、とにかく楽しみたいのよ

*この後に続くポスト・コーラスとアウトロはwanna have fun やそれと同じようなフレーズの連呼なので省略します。

Girls Just Want to Have Fun Lyrics as written by Lolly Vegas, Robert Hazard
Lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC, Warner Chappell Music, Inc.

【解説】
シンセサイザーの弾けた音色で始まるイントロに続いて聞こえてくるCyndi の軽快な歌声。音階を自由に操る彼女が持つ声域は4オクターブに及ぶそうです。メロディーラインは非情にダンサブルなものですが、その明るい響きの中には女性の自立という深いメッセージが込められていますので、そのことを理解する為にも、歌詞をひとつひとつ追いながらその意味を紐解いていきましょう。英語の難易度という点において、第1節にはこれといって難しい部分はありませんが、we’re not the fortunate ones のフレーズだけは、詩として理解するという意味では難解です。直訳すれば「私たちは幸運な(運に恵まれた)者ではない」なんですが、それでは何のことを言っているのかいまいち良く分かりません。って言うか、全然分かりません(笑)。ここのフレーズのWe を、母親との会話の最中であることから、母親も含めた女性全般の事と受け止める人もいるようですが、僕がこの部分と後に続くgirls, they wanna have fun を聞いた時に頭に浮かんだのは、ママと娘との間に横たわる世代の断絶感のようなものでした。ここでのWe は娘の世代の女性だけのことを指していて、娘はママの世代はfortunate だったが私たちはそうでないと言っているように僕には聞こえたのです。もう少し言葉を補って説明するならば、「ママの時代の女性は家庭に入って夫や家族の為に尽くして生きるのが当然だったし、それが良いことだと信じていたのだろうけども(そのことをfortunate という言葉で逆説的に表現しているように思います)私たちの世代の女性は違う」ということです。ですが、歌詞とは自ずからその長さに制限を受けるものですから、we’re not the fortunate ones という短い言葉の中にその気持ちを込めたのではないかと考えました。それが、第1節をこのような日本語に置き換えた理由です。

第2節のyou know you’re still number one も第1節のwe’re not the fortunate ones と対をなしているようにしか僕には思えませんでしたので、このフレーズは、女は家庭に入って夫や家族に尽くしていればいい、外で遊ぶなんてもっての他だという男性優位的な考え方を暗喩していると理解しました。シンディが男女同権を強く求めるフェミニストであることからしても、そう考えれば全ての辻褄が合います。さて、これで峠を乗り越えたかと思いきや、続く第3節にも難題が待ち構えています。3行目のWhen the workin’ day is done というフレーズです。この曲で歌われているgirls という言葉を聞いて誰しもが思い浮かべるのはティーンエイジャーの姿でしょう。恐らく、日本でこの曲を「ハイスクールはダンステリア」として当初売り出したのも、同じような理由からであったような気がします(因みに、そのタイトルだと歌詞の意味を誤解される可能性があるから止めて欲しいとCyndi Lauper 本人から日本のレコード会社に申し入れが後にあった為、現在では曲のタイトルから邦題が削除されています)。とは言え、ティーンエイジャー世代はそのほとんどが学生として時を過ごしているのですから、バイトくらいはするでしょうが一日中働いているという訳でもありません。では、なぜWhen the workin’ day is done なのでしょうか?答えは簡単です。Hazard の原曲も同じフレーズだからです。ですが、理由はそれだけではありません。When the workin’ day is done という文言は同時に、女性が夫や家族の為に家庭にこもる時代は終り、女性も外で働く時代になっているということの暗喩でもあるからなのです。

4節目はたった2行ですが、何かお気付きになった方はおられますか?そうなんです。2行目がwanna have fun ではなく、wanna have だけで終わっているのです。それには何らかの意図があるはずで、僕はそれが「女の子はfun だけでなく、様々なことにチャレンジしても良いのだ」というメッセージを送る為に敢えて空白にしたのだと考え「いろんなことでね」という訳にしました。第5節の2行目は、直訳すれば「残りの世界から彼女を隠してしまう」ですが、男はその独占欲から彼女のいた世界からも引き離してしまうことであると理解してこのように訳しました。I wanna be the one to walk in the sun はその言葉どおり、そんな閉じ込められた世界を飛び出して太陽の下を歩きたい、つまりは、何にも縛られることなく自由に生きたい(まさしくそれがwanna have fun のことなのです)、女性もそうしていいんだということです。6節目からポスト・コーラス、アウトロを経て曲のエンドまでは同じフレーズが続くだけなので、特に解説は必要ないでしょう。Cyndi 版の原曲であるHazard 版の歌詞も知っておくと、Cyndi 版の理解がより進むと思いますので、参考までに紹介しておきますね。以下がHazard 版の歌詞です。

The phone rings in the middle of the night
My father says, "My boy, what do you want from your life?"
Father dear, you are the fortunate one
Girls just wanna have fun
Yeah, girls just wanna have fun

真夜中に電話が鳴ったらさ
父さんが言うんだ、「なあ、おまえは人生に何を望んでるんだ?」って
父さんさあ、父さんは恵まれてた時代の人間だよ
今の女の子ってのはね、とにかく楽しく過ごしたいのさ
そう、女の子ってのは楽しみたがってるんだ

Come home with the morning light
My mother says, "My boy, you’ve got to start living right."
Don’t worry, mother dear, you’re still number one
Girls just wanna have fun
These girls just wanna have fun

朝帰りしたらさ
母さんが言うんだ、「おまえもさ、そろそろまともに生きなきゃ駄目だよ」って
母さんさあ、そんなこと心配無用さ。母さんは昔気質だけど
今の女の子ってのはね、とにかく楽しく過ごしたいのさ
そう、彼女たちは楽しみたがってるんだよ

That’s all they really want
Some fun
When the working day is done
Girls just wanna have fun
Yeah, girls just wanna have fun

ほんと、女の子はみんな何か楽しみを求めてるんだ
ただそれだけよ
仕事をし終えたらさ
女の子ってのはね、とにかく楽しく過ごしたいのさ
そう、楽しみたがってるんだよ

Some guys take a beautiful girl
They try to hide her away from the rest of the world
All my girls have got to walk in the sun
‘Cause girls just wanna have fun
Yeah, girls just wanna have fun

男ってのはさ、きれいな子と付き合いだすと
狭い世界にその子を閉じ込めちゃうじゃない
でもさ、俺の知ってる子たちってのは、太陽の下を歩かなくっちゃならないのさ
だって、女の子はとにかく楽しく過ごしたいんだ
そう、楽しみたがってるんだ

I know your love for him
Is deep as day is long
I know you’d never be the
Thing to do him wrong
But when I knock on the door
I’m close now, you could come
It really wasn’t important
‘Cause girls just wanna have fun
Yeah, girls just wanna have fun

男に対する君の愛がさ
すごく深いものだってのは分かってる
君が男を裏切るようなことを
しないってのも分かってる
でも、俺がドアをノックすれば
俺は君のすぐ傍にいるんだから、傍へ来ればいい
そんなこと、君にはどうでも良かったかな
だってさ、女の子は楽しく過ごしたいんだもんな
そう、楽しみたがってるんだ

Hazard 版の細かい解説は省かせていただきますが、二つの歌詞を比べてみて皆さんはどんな印象をお持ちになったでしょうか?この曲をカバーしてみないかと誘われたCyndi が原曲の歌詞を見せられた際「こんな歌詞、絶対歌うのは嫌だ」と言ったそうですが、彼女は第1節のFather dear, you are the fortunate oneや第5節のBut when I knock on the door, I’m close now, you could come あたりが特に気に食わなかったんでしょう。第5節のフレーズなんかは、なんだか「俺に出会ったからには、俺に黙ってついてくりゃあいいんだ」みたいな感じで古い男性優位社会を肯定しているような感じですもん。そのせいかどうかは分かりませんが、皆さんもお気づきのとおり、Cyndi 版ではこの第5節、ばっさり削除されていますね(笑)。

【第20 回】Small Town / John Cougar Mellencamp (1985)

早いものでこのコーナーで紹介する曲も既に20曲目となりました。今回は僕のお気に入りのアーティストの一人であるJohn Mellencamp の曲を紹介したいと思います。リリースされたアルバムの全部を僕が手元に揃えたアーティストっていうのは今だかつて三人だけですが、そのうちの一人がこのJohn Mellencampなんです(残りの二人はBruce Springsteen とEric Clapton)。John Mellencamp はリリースした曲の歌詞内容から「都会の繁栄とは裏腹に疲弊する地方の町や農村で暮らす人々の代弁者」と捉えられがちですが、彼の真髄はそこにあるのではなく「俺は誰の指図も受けないし誰の支配も受けない。俺は俺であって俺は死ぬまで俺のままだ」という鋼のような意思がそれだと僕は考えています。僕が彼の作品を好きになったのは、その意思を彼の曲の歌詞や生き方から強く感じたからです。メレンキャンプMellencamp なんて少し変わった苗字を持つJohn、実はこの名前、彼の本名でして、ドイツ人の苗字であるムーレンカンプMöhlenkamp がアメリカで英語風になまってMellencamp に変わったものだそう。つまり、ジョンのご先祖様はドイツ人。彼が生まれ育ち、今も暮らしているインディアナ州はかつてドイツからの移民が多かった州で、中でもAmish アーミッシュと呼ばれるキリスト教の教義に基づく非暴力を貫いて生きる人たちの集団が多数を占めていたと伝えられています。21世紀になった今でもアーミッシュは、電気などの文明の力は使わない、移動も徒歩か馬車という移民当時と変わらぬ自給自足の生活を送っており、彼らの暮らしぶりはハリソン・フォードが主演したサスペンス映画「Witness」で詳しく描かれていますので、興味のある方は一度ご覧になってみてください(映画の舞台はペンシルべニア州ですが、ペンシルべニアもアーミッシュの移民が多かった州として知られています)。John の遠い先祖もアーミッシュであった可能性は無きにしもあらずですが、10歳で喫煙を始めたヘビースモーカーで(今もだそうです)、馬ではなくバイクを乗り回し、3度の離婚経験も持つ彼がアーミッシュでないことだけは確かですね(笑)。彼の名前にはもうひとつエピソードがあって、クーガーCougar という名前(ちょっとダサいです)はデビュー時にレコード会社から無理矢理に押し付けられたものだったそうで、本人はずっとこの名前が嫌だったらしく、1991年頃からこのクーガーを外してJohn Mellencamp とだけ名乗るようになりました。

Well, I was born in a small town
And I live in a small town
Probably die in a small town
Oh, those small communities

俺はね、小さな町の生まれなんだ
今も小さな町で暮らしてるし
多分、小さな町で人生を終える
ほんと、誰もが顔見知りみたいな小さな町さ

All my friends are so small town
My parents live in the same small town
My job is so small town
Provides little opportunity

ダチどももみんな小さな町の住人だし
両親だって同じ小さな町に住んでる
働いてるのも小さな町
ほとんどチャンスなんて無いね

Educated in a small town
Taught to fear Jesus in a small town
Used to daydream in that small town
Another boring romantic, that’s me

小さな町で学校へ通ったし
小さな町でイエス様への敬意も教わった
そんな小さな町で空想にふけってた
ロマンチスト、それが俺さ

But I’ve seen it all in a small town
Had myself a ball in a small town
Married an L.A. doll and brought her to this small town
Now she’s small town just like me

でもさ、俺は小さな町であらゆることを知ったし
大いに楽しんだよ、小さな町でね
LAのお嬢さんを嫁にもらってこの小さな町へ連れ帰りもしたんだぜ
今じゃその彼女も小さな町の一員さ、俺みたいにね

No, I cannot forget from where it is that I come from
I cannot forget the people who love me
Yeah, I can be myself here in this small town
And people let me be just what I want to be

俺は自分がどこで生まれたのかを忘れたりなんかできないし
俺のことを愛してくれる町のみんなのことも忘れたりはできない
そうさ、この小さな町でなら俺は自分らしくいれるし
ここのみんなは俺が俺でありたいようにさせてくれる

Got nothing against a big town
Still hayseed enough to say, "look who’s in the big town"
But my bed is in a small town
Oh, and that’s good enough for me

都会に対する反感なんてこれっぽっちも持っちゃいない
「うわぁ、都会の人を見てみなよ」なんて言っちまうくらいの田舎者さ
俺の寝床があるのは小さな町だけど
そう、俺にはそれで充分なのさ

Well, I was born in a small town
And I can breathe in a small town
Gonna die in this small town
Oh that’s probably where they’ll bury me

俺はね、小さな町の生まれなんだ
俺が生きていけるのは小さな町
そして、この小さな町で人生を終える
多分、みんなが俺を埋葬してくれる小さな町でね

Small Town Lyrics as written by John Mellencamp
Lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC

【解説】
ギターとドラムの軽快な音色のイントロで始まるこの曲は、1985年にリリースされた「Scarecrow」というアルバムに収録されたもので、80年代前半に多くのヒット曲を出していたJohn はこのアルバムを出す前から既に人気ロックシンガーでしたが、この頃より地方の農村の困窮や地方都市の疲弊を歌う曲が増え始めています。Small Town はそんな社会問題をテーマにした曲の中の代表作のひとつであり、アメリカの地方で暮らす人々に地方賛歌として熱狂的に受け容れられました。しかし、John 本人は「歌詞にはそういった意図はなく、自分の生まれ育った町(ジョンはインディアナ州のシーモアで生まれ育ち、後に同じ州内のブルーミントンに引っ越しています)での経験を単に綴っただけだ」と語っていて、近年のインタビューでは「ニューヨークやロサンゼルスに住まなくとも人生を豊かに過ごすことはできる」ということを伝えたかったとも答えています。そして、この曲で歌ったとおり、有名人となった今でも彼はインディアナ州の小さな町、ブルーミントンで気の置けない住民たちに囲まれながら静かに暮らしていますから、John Mellencamp は誠に筋の通った有言実行の人だと言えるでしょう。

このSmall Town という曲の歌詞はとてもシンプルかつストレートで、意味不明な暗喩や比喩もありませんので(笑)、英語の初級学習者でも和訳するのに然程の苦労は無いと思います。以下の解説を参考に、是非とも一度、自分の手でチャレンジしてみてください。では、1節目です。前述のとおり大変分かり易く、解説は不要。4行目のthose は、最初の3行のsmall town が何であるかを指しています。第2節も同様に容易な文で綴られていて、1行目と3行目はbe 動詞の後にin を補って理解すると良いでしょう。なぜinが省略されているかというと、歌詞の中がin だらけになるのを避ける為だと思われます(既に充分in だらけですが・笑)。第3節は少し難解。先ず2行目のfear。この単語は普通であれば怖れの意味で使われますが、神に対して使う時は「怖れ」ではなく「崇め敬う」という意味になります。3行目のdaydream は名詞ではなく動詞として使われていますので気を付けてください。Used to は、日本の学校では「~したものだ」と習うかと思いますが、過去にはそうしていたけど今は全くしていないというニュアンスを伝える表現であり、今は全くしていないという点が重要です。4行目のboring は、Used to daydream していた一方で、そのdaydream に対し手持無沙汰であった、つまり「夢想するだけで何もすることはなかった、できなかった」と理解してこう訳しました。

4節目のI’ve seen it all は、直訳すれば「全てを見た」ですが、実際の意味は、おおよそ人が経験するであろうことはすべて経験したということでしょう。Have oneself a ball は大いに楽しむという意味の慣用句で、ここでのball はgood timeのことです。第5節は特に難しい部分もなく、和訳のとおり。ムラ意識の強い日本の地方ではI can be myself , people let me be just what I want to beなんてことは有り得ないでしょうね。第6節のget nothing againstは「~に反感を持っていない」という意味になります。2行目のhayseedは、一般的には「田舎者」と訳されますが、John がこの言葉に込めているのは「素朴で洗練もされてはいないがハートは熱い人々」という気持ちであり、彼はこのhayseed という言葉を好んでよく使います。因みに彼が暮らすインディアナ州は、都会の人々からHoosier State と呼ばれることがあり、そこに暮らす住民は世間知らずの田舎者だという意味を込めてHoosier とあだ名されていますが、John Mellencamp がこの言葉を使っているのを聞いたことはありません。2行目のlook who’s は、look who’s here のように「誰かと思ったら!(直訳なら「ここにいる人を見て」ですが)」のような形で良く使われます。第7節も特に難しい部分は無く、2行目のI can breathe は、排気ガス塗れの都会の空気と違って、田舎では新鮮な空気を吸えるという意味に捉える方もおられるようですが、考え過ぎではないかと思います。ここは単に「生きる」という意味でしょう(笑)。

僕は都会生まれの都会育ちなので、地方出身者の気持ちは分かりませんが(決して地方を見下しているのではありません。その経験が無いから分からないという意味ですので誤解無きよう・汗)、自分の生まれ育った地とそこに暮らす人々を愛することができるなんて羨ましい限りです。都会には愛すべきところなんて何もありませんからね(涙)。

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